物置の解体と処分|費用が何で決まるかと、業者に確かめること

費用とお金

家の中の片付けが終わって庭に出ると、最後に物置が残っています。園芸用品と古い工具が入ったまま、扉は錆びて開きにくくなっています。家財のつもりで見ていたのに、気づくと壊す話になっています。

調べ始めると、業者のサイトごとに金額の幅が大きく、どこまで含んだ数字なのかが読み取れません。自分で外せそうにも見えますが、ボルトは錆びついています。

物置は家財と建物のあいだにあるので、扱いが分かれます。ここでは事業者としてではなく、条文と公的資料にあたる立場から整理します。順番は、物置の立場、何にお金がかかるか、自分で壊すとどうなるか、廃材と基礎、届出、母屋や片付けとまとめるか、頼み先です。

なお、金額そのものは書きません。公的な基準がなく、数える範囲で変わってしまうためです(理由はこのあとの章に書きます)。

  1. 物置の解体でまず押さえておきたい結論
    1. 物置は建築物にあたることがある
    2. 費用が動く5つの要素
    3. 最初にやるのは採寸と中身出し
    4. この記事で扱わないこと
  2. 物置の解体費用が読めないのは数える範囲が違うから
    1. この記事で金額を書かない理由
    2. 見積書のどの行に対応するか
    3. 中身を先に空にすると減る項目
  3. 自分で壊す場合に法律上どう扱われるか
    1. 自分で壊す人は「自主施工者」になる
    2. 石綿の事前調査は規模を問わず必要
    3. 自分でやらないほうがよい場面
  4. 解体で出た廃材は誰が壊したかで区分が変わる
    1. 区分の起点は「事業活動に伴つて」
    2. 誰が壊したかで変わる廃材の出し先
    3. 基礎ブロックとアンカーの処分
  5. 届出が要るかどうかは床面積で決まる
    1. 10平方メートルという線引き
    2. 届け出るのは工事を施工する者
    3. 建設リサイクル法の届出は80平方メートルから
  6. 母屋の解体や片付けとまとめるかを決める
    1. 母屋の解体が決まっている場合
    2. 家を売る予定がある場合
    3. 片付け業者にまとめて頼めるか
  7. 物置の撤去を頼む相手に確かめること
    1. 解体工事業の登録か建設業許可
    2. 廃材を運ぶのが誰かを合わせて聞く
    3. 相見積もりの取り方と比べ方
  8. 実家の物置の解体でよくある質問
    1. 中身が入ったままでも頼めますか
    2. 錆びて開かない扉はどうしますか
    3. 基礎のブロックだけ残せますか
    4. 物置の中の灯油はどうしますか
    5. 借りた土地に置いた物置はどうしますか
  9. まとめ|測って空にしてから見積もりを取る

物置の解体でまず押さえておきたい結論

物置を手放すまでの4ステップ

物置は、置いてある形によっては建築基準法の「建築物」にあたります。家財と同じ感覚で粗大ごみに出す、という筋にはなりません。かかるお金は本体を外す作業だけでなく、基礎の撤去、中身の搬出、廃材の運搬と処分まで含めて動きます。

最初の一歩は、外寸を測って床面積を出し、中身を空にすることです。この2つが決まると、届出が要るかどうかも、見積もりのどこを見ればよいかも決まります。壊し方や頼み先を先に選んでも、話は前に進みません。

物置は建築物にあたることがある

建築基準法は、建築物を「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)」と定めています。屋根と壁があって、土地に定着していれば、大きさにかかわらずこの定義に入ります。

物置は多くがコンクリートブロックの上に載っていて、アンカーボルトで固定されています。この状態は「土地に定着している」と見られる余地があります。

ただし、置いただけで固定していないものもあり、線引きは形によって分かれます。届出が要るかどうかは、「建築物にあたることがある」という前提で押さえておくほうが安全です。

費用が動く5つの要素

物置の撤去でかかるお金は、次の5つの要素で動きます。金額そのものではなく、どの要素が自分の物置に効くのかを見てください。

要素 何で増えるか 自分でできるか
本体を外す 大きさ、屋根の高さ、錆の進み方、ボルトが回るか 状態によっては可能
基礎とアンカーを撤去する ブロックの数、コンクリートで固めてあるか 手作業では重い
中身を出す 残っている物の量と種類 自分でできる
廃材を運んで処分する 量と距離、出し先の受け入れ条件 自分でも出せるが、誰が壊したかで出し先が変わる
庭までの入りやすさと養生 門の幅、車を止められるか、隣家との距離 できない

業者に頼む前提でこのうち自分で減らせるのは、中身の搬出です。残りは物置と敷地の条件で決まります。本体を自分で外すかどうかは、後ろの章で判断の軸を書きます。

見積書のどの行がどれにあたるか、何社に頼むかは、このあとで順に扱います。ここでは要素の一覧として押さえてください。

最初にやるのは採寸と中身出し

外寸を測るのは、床面積が届出の分かれ目になるからです。幅と奥行きをメジャーで測って掛ければ足ります。カタログが残っていれば表記を見るほうが早いこともあります。

もうひとつが中身を空にすることです。見積もりを取る前に空にしておくのが基本で、理由と減る項目は後ろの章で書きます。園芸用品や工具は普通のごみで出せることも多く、自分で片付けられる部分です。

灯油の缶や農薬など、通常のごみに出せないものが出てきたときは、そこだけ市区町村の窓口で扱いを聞いてください。中身の片付けの順番は実家の片付けはどこから?迷わない順番と進め方にまとめてあります。

この記事で扱わないこと

物置1棟に絞って書くため、次のテーマはここでは扱いません。

  • 撤去に使える補助金と、建物滅失登記などの解体後の手続き
  • 母屋を含む解体工事全体の見積もりの見方(工期・保険など)
  • 物置の中身の片付けそのもの
  • 庭木の伐採

補助金・滅失登記・解体工事全体の見積もりの見方は家の解体費用はいくら?内訳と見積もりの比べ方にまとめています。物置の見積書の見方は、このあとの章で扱います。中身の片付けは実家の片付けはどこから?迷わない順番と進め方、庭木は庭木の伐採費用はいくら?高さ別の目安と依頼先を見てください。

(出典)e-Gov法令検索:建築基準法

物置の解体費用が読めないのは数える範囲が違うから

テーブルに広げた撤去工事の見積書

物置の解体には、公的機関が示している料金の基準がありません。金額を決めているのは工事を請け負う相手で、しかも見積もりが本体を外すところまでなのか、基礎の撤去や廃材の処分まで含むのかで数える範囲が変わります。

だから、相場の数字を覚えるより、内訳を分けて書いてもらうほうが確実です。数字は同じでも中身が違えば比べられません。ここでは、書かない理由と、見積書のどこを見るか、自分で減らせるのはどこかを順に見ていきます。

この記事で金額を書かない理由

物置の撤去費用は、選んだ道と敷地の条件によって、成り立ちそのものが変わります。自分で壊して市区町村の案内で出す場合と、業者にまとめて頼む場合とでは、費用の考え方が別のものになります。

そのため、ひとつの相場を書くと、条件を無視して判断させることになりかねません。既存記事の家の解体費用はいくら?内訳と見積もりの比べ方でも、坪単価という言い方の限界を先に書いています。

金額を知りたいときは、先の5つの要素のうち自分に効くものを確かめてから、見積もりを取る順番になります。

見積書のどの行に対応するか

見積書が届いたら、先の5つの要素がどの行にあたるかを見てください。あわせて、石綿(アスベスト)の事前調査の行があるかどうかも見ます。項目名は業者によって違うので、名前ではなく中身で対応を取ります。

  • 本体を外す作業=「解体」「撤去」「手壊し」などの行
  • 基礎とアンカー=「基礎撤去」「土間はつり」「ブロック撤去」などの行
  • 中身の搬出=「残置物処分」「不用品処分」などの行
  • 廃材の運搬と処分=「積込」「運搬」「処分費」などの行
  • 入りやすさと養生=「養生」「小運搬」「諸経費」などの行
  • 石綿の事前調査=「事前調査」「石綿調査」などの行

いちばん抜けやすいのが基礎とアンカーです。本体だけの金額で契約すると、ブロックとアンカーが庭に残ります。行が見当たらなければ、含まれているのかを聞いてください。

一式でまとめられている場合は、どこまでが一式なのかを書き足してもらいます。ここが分かれていないと、追加請求の余地が残ります。

中身を先に空にすると減る項目

自分で減らせるのは、5つの要素のうち中身の搬出です。ここを空にしておくと、残置物処分の行がそのまま消えるか、小さくなります。

減るのは項目であって、ほかの行が安くなるわけではありません。本体を外す作業も基礎の撤去も、中身とは関係なく残ります。

もうひとつ、中身が入っていると重さで作業が変わることがあります。空にしてから見積もりを取ると、業者も条件を読みやすくなります。

自分で壊す場合に法律上どう扱われるか

誰が壊すかで変わる3つのこと

自分で物置を壊す人は、法律のうえで「自主施工者」という立場になります。大気汚染防止法は、解体等工事の自主施工者に対して、石綿の事前調査と記録の作成・保存を求めています。工具がそろうかどうかより先に、この点を確かめてください。

業者に頼んだ場合は、第1項で事前調査が元請業者の義務になり、第3項で記録の作成と保存も元請業者が行います。頼めば調査は相手の仕事、自分で壊せば自分の仕事、という分かれ方です。ここを知らないまま手を出すと、法律の枠から外れたところで作業することになります。

自分で壊す人は「自主施工者」になる

大気汚染防止法は、建築物等を解体する作業を伴う建設工事を「解体等工事」と呼んでいます。第18条の15第1項は、その元請業者に事前調査を義務づけています。

調査の方法として条文が挙げているのは「設計図書その他の書面による調査、特定建築材料の有無の目視による調査その他の環境省令で定める方法」です。

そして第4項が自主施工者の規定です。条文は自主施工者を「解体等工事を請負契約によらないで自ら施工する者」と定義しています。

そのうえで、第1項の環境省令で定める方法による調査を行うとともに「当該調査に関する記録を作成し、これを保存しなければならない」と続きます。

つまり、請負契約によらずに自分で壊す人も、調査と記録の対象です。頼まなければ関係ない、という話ではありません。

石綿の事前調査は規模を問わず必要

第4項の条文には、規模の下限が書かれていません。小さな物置でも、解体するなら調査の対象になります。第5項は、記録の写しを現場に備え置くことと、調査の結果を公衆に見やすいように掲示することを求めています。

自分の物置に石綿が使われているかどうかは、見ただけでは分かりません。条文は調査を「環境省令で定める方法」で行うものとしているので、見た目だけで自分で判断するものではありません。分からないなら、頼む相手に事前調査を含めて依頼することになります。古い波形スレートの屋根が載っているなら、確かめずに割るのは避けてください。

頼む場合は、事前調査が見積もりに含まれているかも聞いてください。見積書に見当たらないときは、調査を誰がやるのかから聞くことになります。

なお、調査の結果を都道府県知事へ報告する義務も第6項にあります。ただし報告が要る規模は環境省令で定められていて、条文だけでは規模が読めません。都道府県の窓口で確かめてください。

自分でやらないほうがよい場面

自分で壊す道が残るのは、状態がよく、ボルトが回り、下ろす高さが低い場合に限られます。次のどれかに当てはまるなら、頼む側に回ってください。

  • 屋根や壁の材質が分からず、石綿の事前調査を頼める当てがない
  • ボルトが錆びついて回らない
  • 屋根に乗らないと外せない高さがある
  • 基礎がコンクリートで固められている
  • 運び出す車と、廃材の出し先の当てがない

錆びたボルトは、力を掛けても回らないまま頭がなめます。そこから無理に進めると、屋根の上で体重を掛けることになり、踏み抜きにつながります。この記事で工具や手順を書かないのは、そこが事故の起点だからです。

(出典)e-Gov法令検索:大気汚染防止法

解体で出た廃材は誰が壊したかで区分が変わる

解体して積まれたスチール板とコンクリートブロック

同じ物置から出た廃材でも、業者が請け負って壊せば事業活動に伴って生じた廃棄物になり、自分で壊して家庭から出せばそうはなりません。廃棄物処理法は、品目ではなくこの起点で区分を分けています。

区分が変わると、出し先も、運んでよい相手も変わります。外したスチールの板と基礎のブロックでは受け入れの条件も違うので、まとめて1か所に持ち込める前提では考えないでください。

壊し方を決めるということは、廃材の出し方も決めるということです。順番としては、誰が壊すかを決めてから、廃材の行き先を確かめる形になります。

区分の起点は「事業活動に伴つて」

廃棄物処理法は、一般廃棄物を「産業廃棄物以外の廃棄物」と定めています。まず産業廃棄物にあたるかを見て、あたらなければ一般廃棄物になる、という順番です。

そして産業廃棄物の第1号が「事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」です。判断の起点は品目ではなく、事業活動に伴って生じたかどうかにあります。

この読み方は、既存記事の畳の処分ガイド|自治体・持ち込み・業者の選択肢と産廃の誤解で畳について整理したものと同じです。物置の廃材も同じ順番で当てはめられます。

誰が壊したかで変わる廃材の出し先

誰が壊したかで、次のように分かれます。

誰が壊したか 出る廃棄物の区分 運べる相手 確かめること
自分で壊して家庭から出す 事業活動に伴って生じたものではない 市区町村の収集・持ち込み、または一般廃棄物処理業(収集運搬)の許可か委託を受けた業者 品目ごとの区分と、1回に出せる量
業者が請け負って壊す 事業活動に伴って生じた廃棄物 その工事で出た廃棄物を扱える許可を持つ相手 誰が運ぶのか、処分先はどこか

業者が請け負って壊した場合、外したスチールの板は金属くず、基礎のブロックはがれき類として扱われます。自分で壊して家庭から出すなら、市区町村の案内に従って出すことになります。

品目ごとに受け入れの条件が違うので、出す前に確かめてください。

なお、外したスチールの板は有価物として値がつくことがあります。実際に買い取ってもらえるなら、廃棄物として出す話ではなくなります。

ただし、値がつかない物までまとめて持って行く相手は、家庭の廃棄物を回収していることになります。引き取る物と値段を、その場で書面にしてもらってください。

環境省は「ご家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の『一般廃棄物処理業許可』や委託が必要です。『産業廃棄物処理業の許可』や『古物商の許可』では回収できません」と書いています。家庭から出す側に回るなら、この線を守る相手に頼んでください。

基礎ブロックとアンカーの処分

物置の下は、コンクリートブロックが並んでいるか、コンクリートで土間が打たれていることが多く、砂利や地面に直接置いてあるものもあります。ブロックや土間があるなら、本体を外しただけでは庭に残ります。

ブロックは重く、数もまとまります。市区町村によって受け入れの扱いが分かれるので、出せるかどうか、1回に何個までかを先に聞いてください。持ち込みだけ受け付けている場合もあります。

アンカーボルトはブロックやコンクリートに打ち込まれていることが多く、抜くとブロックが割れます。割れたぶんもまとめて出す前提で数えておくと、当日に困りません。

(出典)e-Gov法令検索:廃棄物の処理及び清掃に関する法律

(出典)環境省:廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!

届出が要るかどうかは床面積で決まる

メジャーで物置の外寸を測る手元

物置を壊すときの届出は、床面積で決まります。建築基準法は建築物を除却するときの届出を定めていますが、床面積の合計が10平方メートル以内なら要りません。届け出るのは持ち主ではなく、除却の工事を施工する者です。

もうひとつ、建設リサイクル法にも届出がありますが、こちらは建築物の解体で床面積80平方メートル以上が対象です。物置は通常、この80平方メートルには届きません。関わってくるのは建築基準法の10平方メートルのほうで、大きな物置なら超えることがあります。採寸の数字で確かめてください。

10平方メートルという線引き

建築基準法第15条第1項は、建築物を除却しようとするときの届出を定めています。条文が主体として挙げているのは「建築物の除却の工事を施工する者」です。

宛先は都道府県知事で、建築主事等を経由して出します。

そして但し書きが続きます。「ただし、当該建築物又は当該工事に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内である場合においては、この限りでない」という書き方です。

10平方メートルは、たとえば幅3メートル・奥行き3メートルなら9平方メートルで収まります。測った数字が10平方メートルを超えるかどうかが分かれ目になります。

この届出は、物置が建築物にあたる場合の話です。土地に定着していないものは建築物にあたらないので、そもそも除却の届出の対象になりません。

届け出るのは工事を施工する者

条文が届出の主体としているのは「建築物の除却の工事を施工する者」です。業者に頼めばその業者、自分で壊すなら自分が主体になります。

頼むときは、届出が見積もりに含まれているかを聞いてください。10平方メートルを超える物置で、届出の話が出てこない相手には、そこから確かめることになります。

なお、建設リサイクル法の届出は発注者または自主施工者が主体で、建築基準法の除却の届出とは主体が違います。どちらを誰が出すかは、契約の前に決めておいてください。

自分で壊す場合は、都道府県の窓口に様式と提出先を尋ねる形になります。10平方メートル以内なら届出は要りません。超えるようなら、採寸の数字を手元に置いて相談してください。

建設リサイクル法の届出は80平方メートルから

建設リサイクル法は、一定規模以上の工事を「対象建設工事」と呼び、発注者または自主施工者に着手の7日前までの届出を求めています。その規模は施行令が定めていて、建築物の解体工事は「床面積の合計が八十平方メートル」です。

建築物以外のものに係る解体工事については、同じ施行令が「請負代金の額が五百万円」と定めています。物置なら、建築物にあたる場合もあたらない場合も、通常はどちらの基準にも届きません。

なお、解体の話では500万円という数字がもうひとつ出てきます。そちらは建設業の許可が要る請負金額の線で、ここでいう届出の対象規模とは別のものです。

建設リサイクル法の届出は、母屋の解体とまとめて頼むときに初めて効いてきます。物置1棟なら、判断は採寸した床面積のほうで済みます。

(出典)e-Gov法令検索:建築基準法

(出典)e-Gov法令検索:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律

(出典)e-Gov法令検索:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行令

母屋の解体や片付けとまとめるかを決める

母屋の脇に並んで立つ物置

頼む相手を探す前に、どこまでを誰にまとめて頼むかを決めてください。母屋の解体が決まっているなら一緒に頼むほうが動きが減り、家を売る予定なら物置を残す判断もあります。中身の不用品だけを片付け業者に出す、という分け方もあります。

ここを決めずに物置だけ先に頼むと、あとから母屋の話が動いたときに手配が二重になります。実家と自宅が離れているほど、この順番が効いてきます。現地へ行く回数がそのまま増えるからです。

母屋の解体が決まっている場合

まとめて頼めば安くなるかどうかは、相手と敷地の条件で変わります。金額を決めているのは工事を請け負う側なので、ひとつの答えにはなりません。

代わりに比べられるものがあります。

  • 現地へ行く回数と、立ち会いの回数
  • 養生と搬入路を共用できるか
  • 見積もりの内訳が、母屋と物置で分かれて書かれているか

母屋の解体を頼む業者に、物置を含めた見積もりと、含めない見積もりの両方を出してもらうと、差が読めます。先に物置だけ頼んでしまうと、この比べ方ができなくなります。

解体費用の内訳の見方は家の解体費用はいくら?内訳と見積もりの比べ方にまとめてあります。

家を売る予定がある場合

売る予定なら、物置を残したほうがよいこともあります。買う人が庭で使う道具を置く場所として見る場合があるからです。

一方で、傾いていたり錆が進んでいたりすると、引き渡し前に片付けを求められることもあります。残すか外すかは、仲介を頼む不動産会社に先に聞いてください。

売り方そのものの選び方は空き家の売却方法は?仲介と買取の選び方と流れにまとめています。

片付け業者にまとめて頼めるか

中身の不用品だけなら、片付け業者にまとめて頼めます。家財と一緒に運んでもらえば、搬出は一度で済みます。

このとき、中身は家庭から出る一般廃棄物なので、解体工事業の登録や産業廃棄物の許可だけでは回収できません。物置の中身は片付け業者、本体は解体を扱う相手、と分かれることがあります。

一方で、物置本体を壊す作業は別の話です。壊す作業を頼めるかどうかは、このあとで見る解体工事業の登録か、土木・建築・解体の建設業許可があるかで決まります。片付けを頼む相手が解体まで受けられるかは、別に確かめてください。

不用品の回収を頼むときの確認点は実家の片付け業者の選び方|許可の確認と見積もりの比べ方にまとめてあります。

物置の撤去を頼む相手に確かめること

物置の解体作業をする職人の後ろ姿

解体を業として行うには、都道府県知事の登録が要ります。建設リサイクル法が定めていて、登録は5年ごとの更新です。土木工事業・建築工事業・解体工事業の建設業許可を受けている相手は、この登録の対象から外れます。

そして、壊した相手がそのまま運ぶとは限りません。壊す側と運ぶ側は別に決まるので、誰が運んでどこへ持って行くのかまで聞いてください。

電話で聞いて即答できるかどうかが、そのまま判断材料になります。番号まで言えるかを見てください。

解体工事業の登録か建設業許可

建設リサイクル法第21条第1項は、解体工事業を営もうとする者に都道府県知事の登録を義務づけています。登録を受けるのは「当該業を行おうとする区域を管轄する」知事です。

条文は括弧書きで「建設業法別表第一の下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者を除く」としています。建設業許可を持つ相手は、この登録の対象から外れます。

第2項は「前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う」と続きます。登録には期限があるということです。

聞き方はひとつで足ります。「解体工事業の登録か、土木・建築・解体の建設業許可はお持ちですか」と尋ねて、番号まで即答できるかを見てください。

廃材を運ぶのが誰かを合わせて聞く

廃材の章で見たとおり、業者が請け負って壊した廃材は事業活動に伴って生じた廃棄物です。運ぶのは壊した相手とは限らないので、誰が運んで、どこへ持って行くのかを聞いてください。

自分で壊して家庭から出す場合は話が別で、市区町村の一般廃棄物処理業(収集運搬)の許可か委託を受けた相手に頼むことになります。区分は誰が壊したかで決まるもので、どちらの形にするかを後から選べるわけではありません。

どちらの形で出すのかを先に決めておくと、聞くべき許可も決まります。曖昧なまま任せると、庭から出た廃材の行き先が分からなくなります。

相見積もりの取り方と比べ方

社数は2〜3社が目安です。物置1棟だけなら現地の条件が少ないので、この社数で比べられます。母屋の解体もまとめて頼むなら3社にしてください。実家の片付け業者の選び方|許可の確認と見積もりの比べ方には、電話で確かめる方法が具体的に書かれています。

同記事の「この市の一般廃棄物処理業の許可はお持ちですか」と聞いて即答できるかを見る、という確かめ方は、中身の不用品を家庭から出すときのものです。物置の解体を頼む相手には、先に見た解体工事業の登録と、廃材を誰が運ぶのかを同じやり方で聞きます。

見積もりの比べ方も同じ記事にあります。2〜3社に同じ条件で頼み、総額ではなく内訳で比べること、追加料金が出る場面を先に聞くことです。物置の場合も同じ進め方で構いません。

実家が遠いなら、現地調査の立ち会いをどうするかと、鍵の受け渡しを最初に相談してください。写真だけで概算を出し、現地で確定する形を取る業者もあります。

(出典)e-Gov法令検索:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律

(出典)環境省:廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!

実家の物置の解体でよくある質問

園芸用品と工具が詰まった物置の中

ここまでの結論を、実家でよく起きる場面に当てはめて短く答えます。分かれ目は、測った床面積、誰が壊すか、廃材を誰が運ぶかの3つです。

この3つが決まれば、あとは日程と立ち会いの話になります。中身が入ったまま、錆びた扉、基礎だけ残す、灯油、借りた土地という、実家で実際に詰まりやすい5つを順に取り上げます。

迷ったら、採寸の数字と中身の写真を手元に置いて相談するのが早道です。気になるところだけ本文に戻って確かめてください。

中身が入ったままでも頼めますか

頼めます。残置物の処分として見積もりに含めてもらう形になります。

ただし量が読めないぶん、金額は高めに出ます。自分で出せる物だけでも先に片付けておくと、その行が小さくなります。詳しくは中身を空にする節を見てください。

錆びて開かない扉はどうしますか

扉が開かないと中身が出せないので、その状態のまま見積もりを頼んでください。開かない旨を先に伝えると、扉ごと外す前提で見てもらえます。

無理にこじ開けると、扉が外れて倒れてきます。開かない扉は、そのまま業者に渡すほうが安全です。

基礎のブロックだけ残せますか

残すこと自体はできますが、あとで困る場面があります。庭を使う予定があるならつまずきの元になり、家を売るなら買う人に片付けを求められることもあります。

新しい物置を同じ場所に置く予定があるなら、残す判断もあります。出し方と区分は、本文の基礎ブロックの節を見てください。

物置の中の灯油はどうしますか

灯油は通常のごみでは出せません。物置に残っていることが多いので、片付けのはじめに分けておいてください。

扱いは市区町村の窓口で聞くのが確実です。灯油やスプレー缶を含む片付けの順番は実家の片付けはどこから?迷わない順番と進め方にまとめてあります。引き取り先の探し方と、電話で伝えることは灯油の処分はどこに頼む?実家に残った灯油と容器の片付け方にまとめました。

借りた土地に置いた物置はどうしますか

借りている土地や駐車場に置いた物置は、返すときに撤去を求められることがあります。契約の内容によって扱いが変わるので、先に貸主と契約書を確かめてください。

撤去する場合の進め方は、自分の敷地にある物置と同じです。誰が壊し、誰が運ぶかを決めてから見積もりを取ります。

まとめ|測って空にしてから見積もりを取る

物置の解体で押さえておきたいのは、次の3点です。

  • 物置は建築基準法の建築物にあたることがあり、家財と同じ扱いにはならない
  • 除却の届出が要るのは床面積10平方メートルを超えるときで、届け出るのは工事を施工する者
  • 廃材の区分は誰が壊したかで変わり、出し先と運べる相手もそこで決まる

最初にやるのは、メジャーで外寸を測ることと、中身を運び出すことです。 この2つが済めば、届出の要否も見積もりの見方も決まります。そのうえで、本体・基礎・廃材の運搬を行に分けた見積もりを、2〜3社に同じ条件で頼んでください。実家じまい全体の進め方は実家じまいとは?進め方の全手順と費用相場にまとめてあります。

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