仏壇の処分費用はいくら?供養の手順と依頼先の選び方

捨てにくいモノの始末

仏壇を手放すときにかかるお金は、「供養(閉眼供養)のお布施」と「引き取り・運搬・処分の費用」の2つに分かれます。供養を別に頼んで自治体の粗大ごみに出すなら数千円から数万円、供養と引き取りをまとめて依頼するなら数万円から十数万円が目安です。依頼先や仏壇の大きさ、搬出の条件で幅が出ます。

もう1つ、金額より先に知っておきたいことがあります。「処分」と「供養」は別の手続きだという点です。供養を済ませてから運び出す、という順番を押さえておけば、迷う場面はぐっと減ります。

この記事では、費用の内訳、供養の意味と要否、位牌や本尊など中の品の扱い、依頼先の選び方までを整理します。当サイトは仏壇店でも回収業者でもなく、公的資料を確認して実務をまとめているガイドです。実家じまい全体の進め方は実家じまいとは?進め方の全手順と費用相場にまとめています。

仏壇の処分にかかる費用の内訳

料金表と電卓を置いた机の上

費用は2本立てで考えます。閉眼供養のお布施が1万円から5万円程度、仏壇の引き取り・運搬・処分が1万円から10万円程度というのが、依頼先の案内でよく見かける水準です。ここに位牌や仏具の供養、階段作業や出張の加算が乗ることがあります。自治体の粗大ごみに自分で出せば手数料は数百円から数千円ですみますが、供養は別に手配することになります。まず内訳を分けて考えるのが、金額を読み違えないコツです。同じ「5万円」でも中身が違えば、比べようがありません。

仏壇の処分費用は「供養」と「引き取り」に分かれる

費用は「供養」と「引き取り」に分かれる

同じ「仏壇処分5万円」でも、供養込みなのか運搬だけなのかで意味がまったく違います。見積もりを取るときは、供養のお布施が含まれているかを最初に確認してください。

お布施は決まった料金ではありません。寺院や地域によって考え方が異なり、金額を尋ねても「お気持ちで」と言われることもあります。目安が知りたいときは、菩提寺に率直に「他の方はどのくらい包まれていますか」と聞いてみるのが現実的です。仏壇店や専門業者に一括で頼む場合は、供養料が定額で示されていることが多くなります。

依頼先別の費用の目安

依頼先ごとの違いを整理すると、次のようになります。

依頼先 費用の目安 向いているケース
菩提寺 お布施1万〜5万円程度+運搬の手配 付き合いのある寺がある
仏壇店・仏具店 供養込みで3万〜10万円程度 買い替えや相談も一緒にしたい
仏壇処分の専門業者 供養込みで1万〜5万円程度 菩提寺がなく、まとめて任せたい
遺品整理・不用品回収業者 他の家財とまとめて見積もり 実家全体の片付けと同時に進める
自治体の粗大ごみ 手数料は数百円〜数千円 供養を別に済ませ、費用を抑えたい
郵送のお焚き上げ 数千円〜(箱のサイズによる) 位牌や写真など小さなものを手放す

この表は各社が公表している料金プランを見比べた目安です。同じ依頼先でも、仏壇の大きさと搬出条件で金額は変わります。

費用が変わる3つの条件

見積もりが上下する理由は、だいたい次の3つです。

  • 仏壇の大きさ:床置きの大型か、上置きの小型か。高さで料金を区切っている業者が多くあります
  • 搬出の条件:2階からの階段作業、扉や廊下を通らず分解が必要、家の前にトラックを停められない
  • 付属品の量:仏具、位牌、掛け軸、過去帳、遺影をどこまで一緒に供養するか

写真を送って概算をもらえる業者もあります。仏壇の正面・側面・高さが分かる写真と、玄関までの経路を撮っておくと、見積もりの精度が上がります。高さはメジャーで測っておくと確実です。料金表を高さで区切っている業者が多いため、「上置きか床置きか」「高さは何センチか」の2つが分かれば、電話でもおおよその金額を教えてもらえます。

遠方に住んでいて実家に行く回数を減らしたいなら、この写真と寸法を1回の帰省でそろえておくことです。あとは電話とメールで複数の依頼先を比べられます。

供養(閉眼供養)は何のために行うのか

燭台と香炉が並ぶ仏壇の内部

閉眼供養は、多くの宗派で仏壇や位牌に宿るとされる魂を抜くための儀式とされています。魂抜き、お性根抜き、遷仏法要など、宗派によって呼び名も考え方も変わります。法律上の義務ではなく、しなければ罰があるという性質のものでもありません。それでも多くの人が行うのは、気持ちの区切りをつけるためと、親族への説明がつくためです。長く手を合わせてきた場所を、何もせずに運び出すことに抵抗を感じる人は少なくありません。ここでは儀式の意味と、しない選択も含めた考え方を整理します。

宗派によって呼び名も考え方も変わる

多くの宗派では、閉眼供養・魂抜き・お性根抜きという言い方で同じ儀式を指します。地域によって言い方が変わるだけなので、菩提寺に問い合わせるときは「仏壇を手放すので、供養をお願いしたい」と伝えれば通じます。

呼び名 主に使われる場面
閉眼供養(へいがんくよう) 最も広く使われる言い方
魂抜き(たましいぬき) 日常会話でよく使われる
お性根抜き(おしょうねぬき) 関西などで使われる
撥遣(はっけん) 浄土宗・真言宗などで使われる
遷仏法要・遷座法要 浄土真宗で使われる

浄土真宗は考え方そのものが異なります。僧侶が魂を入れたり抜いたりするという捉え方をせず、ご本尊にお移りいただくという意味で、仏壇を手放すときは遷仏法要、引っ越しや買い替えで移すときは遷座法要をつとめるとされています。呼び名だけの違いではなく、儀式の意味づけが違うということです。

宗派が分からない場合は、位牌の戒名の形や仏壇の中の本尊から見当がつくことがあります。仏壇店や寺院に本尊の写真を見せて相談すると、宗派の見当をつけるところから手伝ってもらえます。

お焚き上げは「儀式」ではなく「供養を伴う処分の方法」

混同されやすいのが、閉眼供養とお焚き上げの関係です。閉眼供養は僧侶に勤めてもらう儀式、お焚き上げは供養の気持ちを込めて焼いて納める処分の方法にあたります。段階が違うので、お焚き上げが閉眼供養の代わりになるわけではありません。

近年は環境や消防の事情から、実際に野外で燃やす形をとらず、供養の読経をしたうえで一般廃棄物として適正に処理する事業者も増えています。郵送で受け付けるお焚き上げサービスもあり、位牌や写真など小さなものを手放すときに使われています。どちらの形なのかは事業者によって違うので、「実際にどのように処理されるのか」を申し込む前に確認しておくと、納得して依頼しやすくなります。

供養しないという選択について

供養をせずに手放す人もいます。宗教上の義務ではありませんし、そもそも開眼供養(魂入れ)をしていない仏壇もあります。買ってから一度も僧侶を呼んでいない、という家庭もあります。

ただ、実家じまいの現場でよく起こるのは、自分は気にしなくても親族の誰かが気にするという食い違いです。あとから「あの仏壇、ちゃんとお経をあげてもらったの」と聞かれて答えに詰まるくらいなら、先に一度お願いしておくほうが結果的に楽になります。供養は仏壇のためというより、送り出す側の気持ちの整理と、家族の間の納得のために行うもの、と考えると判断しやすくなります。

費用をかけずに済ませたい場合は、郵送のお焚き上げや、複数の品をまとめた合同供養という選択肢もあります。数千円から利用できるサービスもあるので、「供養はしたいが大がかりにはしたくない」という場合はこちらを検討してください。

位牌・本尊・過去帳はどうするか

白布の上に置かれた位牌と過去帳

仏壇本体より判断に迷うのが、中に入っている品です。位牌だけ手元に残す、複数の位牌を1つにまとめる、寺院に永代供養を頼むといった選択肢があり、すべてを同時に手放す必要はありません。過去帳は家系の記録なので残す人が多く、遺影は縮小してアルバムに移す方法もあります。急いで決めず、迷うものはいったん保管しておくという判断も十分に妥当です。品目ごとに分けて考えると、「全部を手放すか、全部を残すか」という二択から抜け出せます。

仏壇の中の品を、どう分けて考えるか

位牌を残す場合の選択肢

「仏壇は手放すけれど位牌は残したい」という相談はよくあります。この場合、位牌はそのまま手元に移し、閉眼供養は仏壇だけにとどめるのが一般的です。ただし、仏壇の供養のときに中の位牌も一緒に勤めるかどうかは寺院によって考え方が違います。位牌を残すつもりであることを、依頼の最初に伝えてください。

位牌が何柱もあって置き場所に困るときは、複数の位牌をまとめた回出位牌(くりだしいはい)や、過去帳に記録を移す方法があります。回出位牌は、中に何枚もの札板を納められる形の位牌です。古い位牌から順にまとめていけば、置き場所は1つで済みます。

まとめる際には、古い位牌の閉眼供養と、新しい位牌の開眼供養を続けてお願いするのが一般的です。寺院に永代供養を依頼して預ける道もあります。どれを選ぶにしても、菩提寺があるなら一度相談しておくと、後の法要のときに話が通りやすくなります。仏壇を手放しても、位牌を残せば手を合わせる場所は残せます。マンションの一角に小さな台を置いて、写真と一緒に並べるという形もあります。

本尊と掛け軸の扱い

仏壇の中央に安置されている本尊(仏像や掛け軸)は、宗派によって扱いの考え方が異なります。寺院から授与されたものは、その寺院へお返しできる場合があるため、菩提寺があるならまず聞いてみてください。

菩提寺がない場合は、仏壇店や供養を専門に扱う事業者が本尊も含めて引き受けてくれます。仏壇と一緒に供養してもらう形が一般的です。

金属製の仏具や真鍮の燭台、香炉などは、本体とは別に扱われることがあります。素材ごとの分別が必要になるためで、「仏壇一式」と書かれた見積もりでも、仏具が含まれるとは限りません。掛け軸や打敷などの布製品も同様です。見積もりの段階で品目を挙げて、どこまで含むかを確かめておくと、当日の追加請求を避けられます。

過去帳・遺影・写真の残し方

過去帳には、代々の戒名や没年月日が記されています。家系の記録として、これだけは残しておくことをおすすめしたいところです。かさばるものではありませんし、後で法要や墓じまいの場面で役に立ちます。

遺影は、額装のまま保管すると場所を取ります。写真をアルバムサイズに縮小してまとめる、データ化してきょうだいで分け合う、といった方法をとると、手放すことへの抵抗は小さくなります。「捨てる」のではなく「形を変えて残す」と考えると、気持ちの整理がつきやすくなります。

額や額縁だけを処分し、写真そのものは残すという分け方もできます。どうしても手放すときは、郵送のお焚き上げに出せば供養してもらえます。写真やアルバムの整理の仕方は捨てにくいモノの始末でも扱っています。

処分方法5つと選び方

布で包み紐をかけた仏壇

依頼先は5つあります。菩提寺、仏壇店・仏具店、遺品整理・不用品回収業者、自治体の粗大ごみ、郵送のお焚き上げです。付き合いのある寺があるなら菩提寺、実家全体を片付けるなら遺品整理業者とまとめる、費用を抑えたいなら供養だけ手配して自治体に出す、という選び分けになります。供養を行う場合は、原則として搬出の前に済ませます。組み合わせも自由で、供養は寺、運搬は業者という頼み方もできます。それぞれの向き不向きを見ていきます。

菩提寺に依頼する

先祖代々のお付き合いがある寺があるなら、まずはそこへ連絡します。閉眼供養をお願いし、そのまま引き取ってもらえるかを聞いてみてください。引き取りまで対応する寺と、供養だけで運搬は自分で手配する寺があります。

伝え方に迷う人が多いのですが、率直に事情を話して差し支えありません。実家を売ることになった、誰も住まなくなった、と伝えれば、事情は理解してもらえます。寺にとって、仏壇を手放す相談は日常的なものです。日程の候補を2、3つ用意して電話すると、話が早く進みます。

このとき、お墓をどうするかも一緒に相談しておくと二度手間になりません。実家を手放すと墓参りも遠くなるため、墓じまいや永代供養を同時に検討することになりやすい場面です。仏壇と墓の両方を扱う話になると、必要な期間も費用も変わってきます。

仏壇店・仏具店に依頼する

購入した店が分かるなら、その店に相談する方法があります。分からなくても、多くの仏壇店が引き取りに対応しています。供養の手配から搬出、処分までを一括で任せられるのが利点です。仏壇の供養と処分を専門に扱う事業者も、位置づけとしてはここに含まれます。提携する寺院で供養を行い、引き取りまで一括で請け負う形が中心です。

買い替えを伴わない引き取りだけでも受けてくれるかは店によって違うため、最初に確認してください。買い替えが条件の店もあれば、引き取りだけを有料サービスとして案内している店もあります。

小さな仏壇に買い替えて手元供養に切り替えるという選択もあり、その相談ができるのはこの依頼先の強みです。実家の大きな仏壇は手放すけれど、自宅のリビングに置ける小型のものを新たに用意する。この形なら、位牌も本尊も引き継げます。マンション住まいで置き場所に困っている場合の、現実的な落としどころになります。

遺品整理・不用品回収業者に依頼する

実家全体を片付けるなら、家財とまとめて見積もりを取るのが効率的です。仏壇の供養に対応している業者も多く、提携寺院で合同供養を行う形が一般的です。

ここで必ず確かめたいのが許可です。家庭から出る家財やごみの収集運搬ができるのは、市区町村の一般廃棄物処理業の許可を受けた業者か、委託を受けた業者だけです。自社で許可を持つのか、許可業者に運搬を委託する体制なのかを聞いて、即答できる相手を選んでください。業者の見分け方は業者選びにまとめています。

仏壇について、依頼前に確認しておきたいのは次の4点です。

  • 閉眼供養は誰が行うのか(自社の提携寺院か、こちらで手配するのか)
  • 供養の証明書や写真をもらえるか
  • 見積もりに供養料が含まれているか、別途か
  • 引き取った後、どのように処理されるのか

(出典)国民生活センター:不用品回収サービスのトラブル-市区町村から一般廃棄物処理業の許可を受けず、違法に回収を行う事業者に注意!-

自治体の粗大ごみに出す

供養を別に済ませたうえで、仏壇を粗大ごみとして出すこともできます。手数料は数百円から数千円で、費用はいちばん抑えられます。

ただし、自治体によって受け入れの条件が異なります。分解が必要、金具を外す、そもそも収集品目に入っていないなど、地域差が大きい部分です。実家のある市区町村の粗大ごみ受付に電話して、仏壇を出せるか、条件は何かを先に確認してください。

搬出は自分で行うことになるため、大型の仏壇なら人手も必要です。台車と養生材を用意し、2人以上で運ぶことを想定してください。処理施設へ直接持ち込めば、収集を待たずに済み手数料も安くなる自治体があります。気持ちの面で抵抗がある場合は、この方法にこだわらないほうが後悔しません。費用差は数万円程度で、そのために納得できない形をとる必要はありません。

郵送のお焚き上げサービス

位牌、遺影、写真、人形など小さなものは、箱に詰めて送ると供養してくれるサービスがあります。遠方に住んでいて何度も実家に通えない人にとっては、現実的な選択肢です。

料金は箱のサイズで決まる形が多く、数千円から利用できます。仏壇本体は大きさの都合で郵送に向きませんが、中の品だけ先に整理しておくと、本体の引き取りもすっきり進みます。

実家じまいの日程から逆算する

仏壇を運び出したあとの和室の床の間

仏壇の供養は、実家を売る日や解体する日から逆算して組むのが失敗しないコツです。菩提寺の予定は数週間先まで埋まっていることがあり、直前に頼んでも間に合いません。お盆や彼岸の時期はさらに立て込みます。片付けが進んで家が空になってから慌てるより、日程が見えた時点で寺や業者に連絡しておくほうが確実です。搬出の順番や、当日までに確認しておくことにも考え方があります。ここでは段取りの組み方を具体的に見ていきます。

いつ供養するか

目安として、売却の引き渡し日や解体の着工日の1か月前には供養を済ませておくと余裕があります。菩提寺に依頼する場合は、さらに前もって日程を相談しておくと安心です。逆算すると、次のような流れになります。

時期 やること
引き渡し・着工の2か月前 親族へ相談、菩提寺または依頼先へ連絡して日程を仮押さえ
1か月前 仏壇の中身を確認し、残す品と手放す品を分ける
3週間〜1か月前 閉眼供養を行う
供養の後 搬出・引き取り。同じ日にまとめられることも多い
引き渡し・着工まで 残りの家財の片付けを進める

法要の日に親族が集まれるなら、その機会に合わせるという考え方もあります。四十九日や一周忌などの法要と同じ日に閉眼供養をお願いすれば、移動の負担が減り、親族への説明も同時に済みます。遠方から集まる家庭ほど、この組み合わせは助かります。

搬出の順番と養生

当日は、先に仏壇の中身を出してから本体を運びます。位牌、本尊、仏具、過去帳、遺影を一つずつ取り出し、残すものと手放すものに分けます。この作業を写真に撮っておくと、後から「あれはどうしたか」と迷わずに済みます。

大型の仏壇は分解して運ぶことがあります。扉や引き出しが外れる構造になっているので、無理に引っ張らず業者に任せてください。畳や柱を傷めないよう、通り道に養生をしてもらえるかも事前に確認しておきたい点です。

売却の予定があるなら、この養生は特に大事です。仏壇を出すときに柱や敷居を傷つけると、そのまま買主に見られる状態で残ります。「これから売る家なので、傷をつけないでほしい」と最初に伝えておくだけで、扱いは変わります。仏壇を置いていた場所の畳や壁紙が日焼けで色違いになっていることも多く、その部分をどうするかも売却前に確認しておくといいでしょう。

中身を先に確認する

仏壇の引き出しや裏板の隙間から、現金、通帳、印鑑、権利証、手紙、へそくりが出てくることは珍しくありません。仏壇は家の中でも「大事なものをしまう場所」として使われてきました。

そのまま業者に渡してしまうと、取り返しがつかなくなります。確認する場所は決まっています。

  • 引き出しは全部開ける(奥に紙が挟まっていることがあります)
  • 裏板と本体の隙間、底板の下を見る
  • 位牌の裏、過去帳のページの間を確認する
  • 経机や仏壇の下の収納も忘れずに

この確認だけは、手放す前に必ず自分の手で済ませてください。相続の手続きに必要な書類が出てくることもあります。

費用と気持ちで失敗しないための注意点

低い机を挟んで話し合う家族の手元

金額の問題より、あとを引くのは気持ちの行き違いです。親族に伝えないまま処分した、無料回収に渡してしまった、相続や税の扱いを知らずに慌てた。この3つが、仏壇の処分でよく聞く後悔です。仏壇は家の歴史そのものなので、進め方を誤ると人間関係にひびが入ることもあります。しかも一度手放したものは戻ってきませんし、あとから「あのとき相談してくれれば」と言われても取り返しがつきません。急ぐ気持ちは自然ですが、動く前のひと呼吸が結果的に自分を守ります。順番に見ていきます。

「無料回収」に渡さない

「仏壇も無料で引き取ります」と言って回るトラックや、突然の訪問に応じるのは避けてください。国民生活センターによれば、不用品回収サービスに関する相談件数は2018年度の1,354件から2021年度の2,231件へと増加しています。積み込んだ後に高額を請求される、無料と聞いていたのに処分費を求められる、といった相談が寄せられています。

仏壇の場合、金具や装飾に価値があると言われて持ち去られる例もあります。供養がどう行われるのかを説明できない相手には渡さない。これを基準にすると、判断しやすくなります。困ったときは消費者ホットライン188に相談できます。

(出典)国民生活センター:不用品回収サービスのトラブル

親族に先に伝える

仏壇は、きょうだいや親戚それぞれに思い入れがあります。手放すと決める前に、関係する人へ一言伝えておくだけで、後々の関係が変わります。

伝え方は「実家を手放すことになったので、仏壇の供養をお願いしようと思っている」で十分です。相談ではなく報告の形でも、一言あるかないかで受け取り方は変わります。反対されたら、その人に引き取ってもらう選択肢も出てきます。

嫁ぎ先の家の仏壇と実家の仏壇をどうするか、という相談もあります。ひとつにまとめる場合は、宗派が違うこともあるため、双方の寺院に相談してから決めるほうが穏やかに進みます。位牌だけを実家から移し、仏壇は嫁ぎ先のものを使うという形も、選択肢の1つです。どちらの家の宗派に合わせるかで意見が割れたときは、まず菩提寺に「こういう場合はどうされていますか」と聞いてみてください。似た相談を何度も受けている寺は、穏やかな進め方を知っています。

相続と税の扱いを知っておく

法律上、仏壇は少し特別な扱いを受けます。民法897条では、系譜・祭具・墳墓の所有権は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継すると定められています。仏壇は通常この祭具にあたると考えられており、被相続人が承継者を指定していればその人、慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定めるという仕組みです。つまり仏壇は、通常の遺産分割とは別の道筋で引き継がれます。

税の面では、墓地や墓石、仏壇、仏具など日常礼拝をしている物には相続税がかかりません。ただし骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや、商品として所有しているものは課税されます。単に高価だから課税されるという意味ではなく、骨とう品や投資対象、商品にあたるかどうかが分かれ目です。判断に迷う仏具があれば、税理士に確認しておくと安心です。

(出典)e-Gov法令検索:民法/国税庁:No.4108 相続税がかからない財産

誰に相談すればいいか

掃き清められた参道の先にある寺の入口

相談先は、菩提寺があるかどうかで変わります。付き合いのある寺があるならまずそこへ、なければ仏壇店か供養を専門に扱う事業者へ。実家全体を片付けるなら、遺品整理業者にまとめて相談する方法もあります。どこに聞いても失礼にはあたりません。仏壇を手放す相談は、寺院にとっても業者にとっても日常的なものです。「こんなことを聞いていいのだろうか」と迷って動けないまま時間が過ぎるほうが、結果的に選択肢を狭めます。まずは電話1本から始めてください。

菩提寺がある場合

まずは菩提寺に電話します。閉眼供養をお願いしたい旨、実家を手放す事情、希望の日程を伝えれば話は進みます。引き取りまで対応してもらえるか、お布施の目安はどのくらいかを、同じ電話で聞いてしまうと二度手間になりません。

寺との付き合いを今後どうするかも、この機会に相談できます。墓じまいや永代供養を検討しているなら、あわせて話しておくと段取りが立てやすくなります。

菩提寺がない場合

宗派も分からない、寺との付き合いもない、という家庭は増えています。この場合は仏壇店、または仏壇の供養と処分を専門に扱う事業者が窓口になります。提携している寺院で合同供養を行い、証明書を発行してくれる事業者もあります。

依頼先を選ぶときは、供養の方法、引き取り後の処理、料金に含まれる範囲の3点を聞いてください。この3つに明確に答えられるかどうかで、任せてよい相手かどうかが分かります。言葉を濁す、金額だけを急いで提示してくる、その場で契約を迫る。こうした相手は避けてください。

宗派が分からなくても問題ありません。宗派を問わず供養を受け付けている事業者は多く、本尊の写真を見せれば見当をつけてもらえることもあります。「うちは宗派が分からないのですが」と最初に伝えれば、それを前提に案内してもらえます。

実家じまい全体の相談

仏壇だけを切り離して考えるより、実家じまいの流れの中に置いたほうが判断しやすくなります。片付けと売却の費用感は実家じまいの費用はいくら?内訳と総額の目安、抑える方法にまとめました。

進め方で迷ったときはお問い合わせからご相談いただけます。個別の宗教上の判断や税務のご相談にはお答えできませんが、順番の整理はお手伝いできます。

まとめ:順番さえ守れば難しくない

仏壇の処分は、①親族に伝える → ②中身を確認して品目を分ける → ③閉眼供養を依頼する → ④搬出・処分という順番で進めると、判断に迷う場面が減ります。「処分」と「供養」を切り分けて、供養を先に置く。これだけで、何を誰に頼めばいいのかが見えてきます。費用は、供養を省いて自分で処分すれば数千円から、供養と引き取りを業者に任せると10万円前後。大型で搬出が難しいと、これを上回ることもあります。

位牌や過去帳は残すという選択もあり、すべてを同時に手放す必要はありません。実家を売る日や解体する日が決まっているなら、そこから1か月以上さかのぼって日程を組んでください。

まずは、仏壇の写真を撮って中身を確認するところから始めてみてください。それだけで、依頼先に相談するときの材料がそろいます。

※お布施や供養の考え方は宗派・地域・寺院によって異なります。金額は依頼先の案内をもとにした目安です。個別の宗教上の判断は寺院へ、税務の判断は税理士にご相談ください。

仏壇そのものを引き取ってもらう場合も、仏具や位牌だけを郵送で供養してもらう場合も、受付先によって費用の決まり方が違います。郵送で頼めるお焚き上げ・供養の受付先一覧にまとめています。料金・送料の扱い・対応品目は各公式サイトの記載で比べられます。

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