実家じまいの失敗には、あとから直せるものと、二度と直せないものがあります。お金の失敗は次から防げますが、処分してしまった家財も、壊してしまった家も戻ってきません。
やってはいけないことを7つに絞ると、①相続の確認前に処分する ②無料回収に渡す ③親の同意なく捨てる ④売れる見込みがないまま解体する ⑤期限を見落とす ⑥1社だけで決める ⑦ひとりで抱え込むです。順番に見ていけば、いま自分がどの段階にいるかも分かります。
すでに手を付けてしまった人も、まだ間に合うことは多くあります。この記事では、失敗の中身と、起きてしまったあとの直し方をあわせて整理します。全体の進め方は実家じまいとは?進め方の全手順と費用相場にまとめました。当サイトは片付けや解体を請け負う業者ではなく、公的資料を確認して実務をまとめているガイドです。

7つを性質で分けると、次のようになります。
| やってはいけないこと | 性質 | 起きたときの動き方 |
|---|---|---|
| 相続の確認前に処分する | 取り返しがつかない | すぐ弁護士・司法書士へ |
| 無料回収に渡す | 取り返しにくい | 消費者ホットライン188へ |
| 親の同意なく捨てる | 関係が傷つく | 謝り、以後は一緒に決める |
| 見込みなく解体する | 取り返しがつかない | 売り方を不動産会社と練り直す |
| 期限を見落とす | 期限による | 期間伸長・申告登記など代替手段 |
| 1社だけで決める | 次から防げる | 次の依頼から相見積もりに |
| ひとりで抱え込む | 時間で取り返せる | 範囲を決めて業者に任せる |
1. 相続の確認前に家財を処分する

最も取り返しがつかないのが、相続の方針が決まる前に家財を処分してしまうことです。民法には、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認をしたものとみなすという規定があります。つまり、借金などマイナスの財産があって相続放棄を考えている段階で遺品を売ったり形見分けをしたりすると、放棄が認められなくなるおそれがあります。片付けを急いだ結果、負債を引き継ぐことになりかねません。まず確認すべきことがあります。
何を確認してから動くのか
手を付ける前に確かめるのは、次の3つです。
- 親が存命か、亡くなっているか(存命なら所有者は親本人です)
- 相続人が誰か、遺言があるか
- プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多そうか
負債の有無がはっきりしないうちは、値段の付く品をお金に換えないこと。これが最低限の線です。ごみとして明らかに価値のないものを片付ける程度で単純承認とみなされるとは限りませんが、判断がつかないなら手を止めてください。
借金の有無を調べる方法もあります。故人宛の郵便物を保管し、督促状や請求書がないかを確認する。通帳の引き落とし履歴を見る。信用情報機関に開示を請求する。この確認をしないまま「たぶん借金はないだろう」で進めるのが、いちばん危ない進め方です。実家の片付けを始めると郵便物も一緒に捨ててしまいがちなので、書類だけは別の箱にまとめておいてください。
なお、親が存命の場合はそもそも相続が発生していないため、この論点は生じません。ただし所有者は親本人なので、次の3番の問題に変わります。
もう処分してしまった場合
すでに遺品を売ってしまった、形見分けをしてしまったという場合でも、状況によって扱いは変わります。処分した品の価値、時期、事情によって判断が分かれるため、自己判断で結論を出さず、弁護士か司法書士に相談してください。
相続放棄の判断は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。事情によっては期間の伸長を家庭裁判所に申し立てられる場合もあります。時間との勝負になるので、心当たりがあるなら今日中に相談先を探すくらいの速さで動いてください。
放棄を検討中でも、できることはある
3か月の間、何もできないわけではありません。手を付けてよい範囲と、避けるべき範囲を分けておきます。
- 比較的問題が小さい:郵便物の確認と保管、水道・電気の検針票の整理、明らかなごみの片付け、写真を撮って記録する
- 慎重にすべき:家財の売却、形見分け、預貯金の引き出し、家財の大量処分、名義の変更
判断の軸は「価値のあるものを自分のものとして扱ったか」です。記録に残す作業なら、あとで放棄を選んでも困りません。むしろ写真と一覧を作っておけば、専門家に相談するときの材料になります。
判断がつかないものは、捨てずに1か所へ寄せておく。この「保留の箱」を作るだけで、あとから取り返しがつく範囲は大きく広がります。
(出典)e-Gov法令検索:民法
2. 「無料回収」に渡してしまう

片付けの最中は、少しでも早く物を減らしたくなります。そこへ「無料で引き取ります」というトラックや突然の訪問が来ると、つい任せたくなります。国民生活センターによれば、不用品回収サービスに関する相談件数は2018年度の1,354件から2021年度の2,231件へと増加しています。積み込んだ後に高額を請求される、無料と聞いていたのに処分費を求められる、といった相談です。渡してしまってからでは、取り戻すのは簡単ではありません。
なぜ「無料」で成り立たないのか
家庭から出る家財やごみの収集運搬ができるのは、市区町村の一般廃棄物処理業の許可を受けた業者か、市区町村から委託を受けた業者だけです。処分には費用がかかるため、無料で回収して適正に処理すれば事業として成り立ちません。
つまり「無料」をうたう相手は、積んだ後に請求するか、不適正に処理しているかのどちらかである可能性があります。依頼先を選ぶときは、その市区町村で収集できる立場かを確認してください。即答できない相手には渡さないのが安全です。
紛らわしいのが、買取のための「古物商許可」を掲げている場合です。古物商許可は中古品を売買するための許可であって、家庭のごみを運ぶ資格ではありません。「許可を持っています」と言われたら、何の許可かを確かめてください。一般廃棄物処理業の許可なのか、市区町村からの委託なのか。この2つのどちらかでなければ、家庭から出るごみの収集運搬はできません。
押し買いに遭ったときの対処
貴金属や着物だけを強引に買い取られる「押し買い」は、特定商取引法の訪問購入にあたり、クーリング・オフの対象になります。契約書面を受け取った日から一定期間内であれば、書面で申し出て解除できます。
困ったときは消費者ホットライン188に相談できます。業者の見分け方は業者選びにまとめました。
声をかけられたときの断り方
その場で断りにくいのが、この手の勧誘の厄介なところです。決め手になる言い方を用意しておくと楽になります。
- 「相続の手続き中なので、まだ何も動かせません」
- 「きょうだいと相談してから決めます」
- 「市の許可を受けている業者にお願いすることにしています」
理由を説明する必要はありません。玄関を開けない、車に荷物を積ませない。この2つを守るだけで、トラブルに巻き込まれるリスクは大きく下がります。すでに積み込まれてしまった場合は、その場で支払わず、業者名と車のナンバーを控えて188に相談してください。
(出典)国民生活センター:不用品回収サービスのトラブル
3. 親の同意を取らずに捨てる

親が存命の場合、実家の家財の所有者は親本人です。よかれと思って片付けたつもりが、「勝手に捨てられた」という強い反発を招くことがあります。施設に入ったから、認知症が進んだから、という理由でも、本人の意思を確認しないまま進めるのは避けてください。これは法律の問題であると同時に、その後の家族関係の問題でもあります。もめてしまうと、片付けそのものが止まり、結局は何も進まなくなります。急いでいるときほど、ここを飛ばしたくなるので注意してください。
親が存命のときの進め方
まずは、親と一緒に決める形を作ります。全部を一度に決めようとせず、残したい物から選んでもらうのがコツです。捨てるものを選ばせると抵抗されますが、残すものを選んでもらう形なら話が進みます。
もう1つ効くのが、片付けの理由を「防災」や「安全」に置き換えることです。「物を減らそう」ではなく「地震のときに倒れたら危ないから、この棚だけ整理させて」と伝える。実際に片付いた分だけ暮らしやすくなるので、次の相談もしやすくなります。一度で全部を終わらせようとしないことが、いちばんの近道です。
判断能力が十分でない場合は、程度に応じて後見・保佐・補助の申し立てを検討することになります。選ばれた後見人等が本人の居住用不動産を売るには、家庭裁判所の許可も必要です。この段階では、家を売ることまで踏み込まず、片付けにとどめる判断もあります。
きょうだいへの伝え方
親が亡くなっている場合でも、家財は相続人全員のものです。相続人が数人いるとき、相続財産は共有になります。独断で進めず、着手前に「いつ・どこまで・誰がやるか」を共有しておいてください。
共有の財産を処分する以上、報告だけでは足りません。着手の前に、相続人の間で合意を取っておいてください。写真を撮って共有し、「これは残す?」と聞くだけでも、後の不満はかなり減ります。形見分けの希望を先に聞いておくのも有効です。
もめてしまったあとの立て直し方
すでに「勝手に捨てた」と言われてしまった場合は、言い訳より先に、事実と経緯を並べて共有してください。何をいつ処分したか、なぜそうしたかを時系列で書き出します。写真が残っていれば、それが最も強い材料になります。
そのうえで、これからの分については一緒に決める形に切り替えます。「残すかどうか迷っているものは全部写真を撮って送る。返事をもらってから動く」という約束にすれば、多くの場合は落ち着きます。費用の分担でもめている場合は、領収書を1か所にまとめ、支払った日付・金額・内容の一覧を作ることから始めてください。分担の考え方は実家じまいの費用はいくら?内訳と総額の目安、抑える方法で整理しています。
4. 売れる見込みがないまま解体する

解体は選択肢の1つですが、順番を誤ると損をします。売れる見込みが立たないうちに更地にすると、住宅用地の特例が外れて土地の固定資産税が上がり、買い手が付かないまま負担だけが続くことになります。しかも解体費は100万円を超えることが多く、先に手元から出ていきます。不動産会社に「古家付き土地として売れるか」を聞いてから決めるだけで、この失敗のリスクは大きく下がります。順番を変えるだけなので、費用もかかりません。
先に確認すべき2つのこと
解体を決める前に確かめるのは次の2点です。
- 現況のまま(古家付き土地として)売れるか、いくらくらいか
- 解体した場合、いくら高く売れるか。その差額は解体費を上回るか
査定は家財が残ったままでも受けられます。片付けを終える前に聞いてしまってかまいません。むしろ査定額が分かると、片付けにいくらまでかけられるかの判断がつきます。
聞き方にもコツがあります。「解体したほうがいいですか」ではなく、「古家付きのままだといくら、更地にするといくらになりそうですか」と2つ並べて聞いてください。前者の聞き方だと相手の得意な売り方に寄った答えが返ってきますが、後者なら金額で比べられます。2社以上に同じ聞き方をすると、地域の相場感もつかめます。
固定資産税がどう変わるか
住宅用地には課税標準を下げる特例があり、200平方メートル以下の部分は6分の1、それを超える部分は3分の1になります。建物があることが前提の仕組みなので、更地にすると土地はこの軽減から外れます。
判定は毎年1月1日時点の状況です。一方で建物にかかっていた分の税はなくなるため、土地と家屋を合わせた総額が必ず増えるとは限りません。解体前に市区町村の税務担当へ試算を頼むと、金額で比べられます。費用の全体像は実家じまいの費用はいくら?内訳と総額の目安、抑える方法にまとめました。
もう解体してしまった場合
更地にしたあとで買い手が付かない、と気づいた場合でも打てる手はあります。
- 売り出し価格と売り方を、複数の不動産会社に見直してもらう
- 隣地の所有者に声をかける(隣接地は買い手になりやすい相手です)
- 駐車場や資材置き場として貸せないか、地元の不動産会社に相談する
- 空き家バンクや自治体の土地情報の仕組みに登録する
更地のほうが売りやすい場合もあります。売れないと決めつける前に、価格と売り方を変えてみてください。あわせて、解体費に使える補助金がなかったかも確認しておきます。使えたはずの制度を逃していた場合、次の機会には活かせます。詳しくは実家じまいの補助金はいくら?対象条件と申請の順番にまとめました。
(出典)e-Gov法令検索:地方税法
5. 期限を見落とす

実家じまいには、性質の違う期限が4つあります。相続放棄が3か月、相続税の申告が10か月、相続登記が3年、空き家の3,000万円特別控除が相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。それぞれ起点が違うため、まとめて覚えようとすると混乱します。カレンダーに書き出して、いま何か月目かを把握しておくだけで、慌てる場面はほとんどなくなります。逆に、期限を知らないまま片付けだけ進めるのが、いちばん危ない状態です。

4つの期限の起点はそれぞれ違う
一覧にすると違いがはっきりします。
| 期限 | 長さ | 起点 |
|---|---|---|
| 相続放棄・限定承認 | 3か月 | 自己のために相続の開始があったことを知った時 |
| 相続税の申告・納付 | 10か月 | 被相続人が死亡したことを知った日の翌日 |
| 相続登記の申請 | 3年 | 不動産の取得を知った日(施行前の相続は令和9年3月31日まで) |
| 空き家3,000万円控除 | 約3年10か月 | 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日 |
いちばん短い3か月が、いちばん取り返しがつきません。そして最後の控除は「3年」と覚えていると早合点しがちですが、実際には年末までの猶予があります。急ぐべきものと、思っているより余裕があるものを分けて考えると、動きやすくなります。
相続登記を怠ると、正当な理由がない場合は10万円以下の過料の対象になります。遺産分割がまとまらないときは、相続人申告登記という簡易な方法で義務を果たせます。ただしこれは名義を確定させる登記ではないため、この状態では売買の決済・引渡しは完了できません。申出のあとに遺産分割が成立した場合は、成立の日から3年以内に、その結果に基づく登記を改めて申請する必要があります。
(出典)法務省:相続登記の申請義務化について
期限に間に合わないと分かったとき
すでに過ぎている、間に合いそうにないという場合でも、できることはあります。相続放棄の3か月は、事情によって家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられる場合があります。相続登記は、遺産分割がまとまらなくても相続人申告登記で義務を果たせます。
3,000万円の特別控除だけは、期限を過ぎると取り返しがつきません。売却を検討しているなら、この期限から逆算して片付けと解体の日程を組んでください。詳しい要件は実家じまいの補助金はいくら?対象条件と申請の順番でも触れています。
なお、この控除は「相続してから売るまでの間に、事業・貸付け・居住のいずれにも使っていないこと」が条件です。空き家のまま置いておくのが惜しいからと人に貸すと、この要件を満たさなくなります。一時的な貸付けや無償で貸した場合も含まれます。期限を意識するあまり途中で賃貸に出して控除を失う、というのも実際にある失敗です。賃料収入と控除のどちらが大きいかは条件によるため、貸すかどうかは税理士に確認してから決めてください。
6. 見積もりを1社だけで決める

片付けを業者に頼むとき、1社の見積もりだけで契約すると、その金額が高いのか安いのか判断できません。しかも訪問見積もりに来てもらうと断りにくくなり、その場で契約してしまいがちです。金額の失敗はお金で取り返せる種類のものですが、数十万円の差が出ることもあります。2〜3社に同じ条件で見積もりを依頼するだけで、この失敗は防げます。しかも順番にも意味があって、先に物量を減らしてから見積もると金額そのものが下がります。
物量を減らしてから見積もる
見積金額は物量に大きく左右されます。だから見積もりを取る前に、自分で出せる物を減らしておくのが最も効きます。古紙や衣類、まだ使える日用品を先に処分するだけで、当日のトラック台数が変わります。
ただし、これは相続の確認が済んでからです。通帳や権利証、保険証券などの書類と、値段が付きそうな品は先に別の箱へ分けておいてください。
同じ条件で比べる
相見積もりのコツは、条件を揃えることです。次の項目を同じように伝えます。
- 間取りと、物量が分かる写真
- 搬出条件(階数、道幅、エレベーターの有無)
- 希望日と、作業に立ち会えるかどうか
- 供養や簡易清掃を含むかどうか
比べるのは総額だけではありません。作業範囲、追加料金が発生する条件、当日の作業人数まで見てください。書面で条件を確認しておくと、当日の交渉を避けられます。
同じ条件で聞いているのに金額が大きく違う場合は、作業範囲の解釈がずれていることがほとんどです。安いほうに「なぜこの金額でできるのか」を聞き、高いほうに「何が含まれているのか」を聞く。両方に確かめると、条件の違いがはっきりします。
その場で契約しない
訪問見積もりの場で契約を迫られたら、いったん持ち帰ってください。「他社の見積もりも見てから決めます」と言えば十分です。急がせる相手とは契約しない、という基準を持っておくと迷いません。
すでに契約してしまった場合でも、訪問販売にあたるならクーリング・オフができることがあります。契約書面を受け取った日から一定期間内であれば、書面で申し出て解除できる仕組みです。判断に迷うときは、作業日の前に消費者ホットライン188へ相談してください。作業が終わってからでは、取り消せる範囲が狭くなります。
7. ひとりで抱え込む

実家じまいでつまずきやすいのは、実は制度でも金額でもなく、ひとりで全部やろうとして途中で止まってしまうことです。遠方から通いながら、仕事や介護と並行して数十年分の物を片付ける。うんざりして手が止まり、そのまま数年放置される家は少なくありません。放置している間も固定資産税と管理の負担は続き、家は傷んで売りにくくなっていきます。抱え込まない工夫が、結果的にいちばん費用を下げます。人に任せるのは、あきらめではなく段取りの1つです。
分ける、頼む、区切る
続けるための工夫は3つあります。
- 分ける:全部を一度にやらず、1部屋ずつ、1日3時間までと区切る
- 頼む:大型家具と重い物だけ業者に任せ、書類と思い出の品は自分でやる
- 区切る:「今日はここまで」と終わりを決めてから始める
一人っ子で相談相手がいない、きょうだいが遠方で頼れない。そうした事情があるほど、業者に任せる範囲を広げるほうが現実的です。時間とお金のどちらを使うかの選択で、時間には限りがあります。
手が止まったときに戻る場所
途中で嫌になったら、片付けそのものから離れて、次の3つだけ確認してください。
- 期限は今どうなっているか(相続放棄・相続税・相続登記)
- 家をどうするかは決まっているか(売る・貸す・持ち続ける・壊す)
- 次にやることは1つに絞れているか
家の行き先が決まっていないと、片付けの範囲も決まりません。だから手が止まります。物と向き合う前に、不動産会社に査定を頼んで「この家はどう扱えるのか」をはっきりさせるほうが、結果的に早く進みます。査定は家財が残ったままでも受けられます。
誰に相談すればいいか
内容ごとに相談先は分かれます。片付けは市区町村の許可を受けた業者、売却と解体は不動産会社と解体業者、相続登記は司法書士、税金は税理士です。すべてを一度に相談すると混乱するので、最初の窓口を1つに絞ってください。
多くの場合、家をどうするかが決まらないと片付けの範囲も決まりません。不動産会社への相談から始めると全体が動き出します。
費用の面でも、任せたほうが安く済むことがあります。遠方から月に2回通えば交通費と宿泊費がかさみ、有給休暇も削られます。その合計と、業者に頼んだ場合の見積もりを並べてみてください。自分でやるほうが必ず安い、とは限りません。仏壇や思い出の品など、自分で判断したい部分だけ残して、あとは任せるという線引きが現実的です。仏壇の扱いは仏壇の処分費用はいくら?供養の手順と依頼先の選び方にまとめました。
まとめ:まだ間に合うことのほうが多い
実家じまいの失敗は、取り返しがつかないものから順に潰していくのが基本です。相続・所有権・期限にかかわる失敗から先に防ぐ、という優先順位です。ここを固めてから片付けに入ると、あとで戻れなくなる場面を減らせます。①相続の確認、②親族との合意、③期限の把握。この3つを先に済ませてしまえば、残りはお金と手間の問題になります。逆に言えば、この3つを飛ばして片付けから入ると、あとで戻れない場所まで進んでしまうことがあります。
無料回収に渡さない、売れるか確かめてから解体する、2〜3社から見積もりを取る。どれも難しいことではありません。判断に迷ったときは、「これは取り返しがつくか」と自分に聞いてみてください。つく話なら進めてよく、つかない話なら誰かに相談してから動く。この線引きを持っておくだけで、大きな失敗を避けやすくなります。
すでに手を付けてしまった場合でも、相続放棄の期間伸長や相続人申告登記など、間に合う道が残っていることがあります。「もう遅い」と決めつけて放置するのが、いちばんもったいない選択です。
まずはカレンダーを開いて、相続が始まった日から何か月経ったかを数えてみてください。それが、いま何を急ぐべきかを教えてくれます。3か月を過ぎているなら相続放棄の判断は終わっているはずですし、10か月が近いなら相続税の確認が先です。数えるだけなら5分もかかりません。
判断に迷ったときはお問い合わせからご相談ください。個別の法律・税務の判断はお答えできませんが、どの専門家に何を聞けばいいかの整理はお手伝いできます。
※この記事は一般的な情報の整理です。個別の相続・税務の判断は、弁護士・司法書士・税理士など専門家にご相談ください。

