物置を開けたら、古いタイヤが積んであった。市の粗大ごみの案内に品目が無く、調べると「産業廃棄物だから出せない」と書いてある。ここでいったん止まります。結論から書くと、家庭から出たタイヤは一般廃棄物です。産業廃棄物になるのは、事業活動に伴って生じたものです。この違いで頼み先が変わります。ここでは、まず自分のタイヤがどちらかを見分け、本数とホイールの有無を数え、引き取りを頼める先と費用が動く理由、電話で聞く順番までを順に並べます。根拠は廃棄物処理法の条文、環境省の通知、日本自動車タイヤ協会の案内です。何年も積んだままのタイヤでも、引き取ってもらえる先はあります。
家庭から出たタイヤは一般廃棄物になる

分かれ目は事業活動に伴って生じたかどうかの1点です。自家用車から外したタイヤ、物置にしまってあった古タイヤは、家庭から出たものとして一般廃棄物になります。一方、商売や農業で使っていた車から外したものは産業廃棄物です。名義そのものではなく、その廃棄物が事業活動に伴って生じたかどうかを見ます。ここを取り違えると、持ち込んだ先で断られます。「タイヤは産業廃棄物だから捨てられない」という説明も見かけますが、家庭から出たものはそれにあたりません。まず条文の分け方から見ていきます。

条文の分け方は「産業廃棄物以外」
廃棄物処理法は、一般廃棄物をこう定めています。「この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。」引き算の書き方です。
先に産業廃棄物にあたるかを見て、あたらなければ一般廃棄物になります。
産業廃棄物になるのはどんなときか
同じ法律の第2条第4項第1号は、産業廃棄物をこう定めます。「事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」。頭に「事業活動に伴つて生じた」が付いている点が要です。
タイヤのゴムもここで扱われますが、入るのは事業活動から出たものだけです。
日本自動車タイヤ協会も回収ルートを2つに分けています。「事業者や解体業者が収集・運搬業者へ直接引き渡すルート(産業廃棄物)」と「一般家庭から、または自治体を経由しタイヤ販売店が引き取るルート(一般廃棄物)」です。
実家じまいで迷いやすい3つの例
判断が割れやすいのは次の3つです。
| 出どころ | 扱い | 頼み先 |
|---|---|---|
| 親の自家用車から外したタイヤ | 一般廃棄物 | タイヤ販売店など |
| 親が農業や商売で使っていた車のタイヤ | 産業廃棄物 | 産業廃棄物収集運搬業の許可がある業者 |
| 法人名義だが、実際は親が私用で乗っていた車 | 個別の判断になる | ごみが出る市区町村に確認 |
3つ目の形は実家じまいでよく出てきます。私用なら一般廃棄物となる可能性がありますが、名義や経費の扱いから事業性を問われることもあります。判断は自治体が地域の実情を踏まえて運用するため、迷ったら現物の状況を伝えて聞いてください。
車そのものをまだ手放していない場合は、手続きの順番が別にあります。名義が親のままのときの流れは実家の車の処分方法にまとめました。
事業で使っていたタイヤはどこへ行くか
産業廃棄物にあたる場合、協会の会員企業の拠点・販売店では引き取れないとされています。日本自動車タイヤ協会は「事業活動に伴って生じた廃タイヤ(産業廃棄物の廃タイヤ)は、引き取ることはできません」と書いています。
この場合は排出事業者の立場になり、都道府県(政令市)が出す産業廃棄物の許可を持つ業者に委託する道へ移ります。収集運搬と処分では要る許可が違うので、どこまで頼むのかを伝えて確かめてください。
親が廃業したあと、相続したあとに出てきたものの扱いは判断が分かれます。日本自動車タイヤ協会も「判断に迷うことがありましたら、所轄の自治体にご確認下さい。」と案内しています。
(出典)e-Gov法令検索:廃棄物の処理及び清掃に関する法律/一般社団法人日本自動車タイヤ協会:廃タイヤの取扱い
「適正処理困難物」に指定されている、の意味
タイヤは国が名指しで指定した品目です。ただし、この指定は「市区町村に出せない」という意味ではありません。市町村の設備と技術では処理が難しいものについて、製造や販売をしている事業者に協力を求められる、という仕組みです。販売店の引き取りは、この仕組みと商慣行の両方で動いています。指定の中身を知っておくと、電話をかける先の順番が決まります。指定されたのは4品目で、タイヤはそのうちの1つです。条件が付いている点も含めて、通知の原文をそのまま見ていきます。
指定されているのは自動車用のタイヤ
環境省の通知が挙げる品目の1つ目が「廃ゴムタイヤ(自動車用のものに限る。)」です。「自動車用のものに限る」という条件が付いている点が、タイヤの読みどころになります。指定された4品目の全体像はマットレス・ベッドの処分方法で扱いました。
家電4品目とは根拠の法律が違います(実家の家電の処分方法)。
指定の相手方は、住民ではなく事業者
条文の本体は第2項です。「市町村長は…製造、加工、販売等を行う事業者に対し…必要な協力を求めることができる。」つまり指定は、市区町村と事業者のあいだの話になります。住民に「出してはいけない」と命じる規定ではありません。
収集の対象にしているかどうかは市区町村で分かれます。指定とは別に、各市区町村が処理計画で決めているためです。
販売店の引き取りは、商慣行と市区町村への協力の二本立て
通知は、事業者側の協力の中身まで書いています。「特定事業者は、市町村の処理が困難となっている過程に係る協力要請に対し、新規製品との買替えの際等に指定一般廃棄物を販売店等で引き取り」。そのうえで「可能な範囲で運搬、中間処理又は最終処分(一般廃棄物処理業者への委託を含む。)を行うこととする」と続きます。
これは市区町村から協力を求められたときの話です。日常の引き取りはこれとは別に、商慣行として動いています。日本自動車タイヤ協会は「当該タイヤ販売店に処理費を支払って引き取ってもらうことが一般的です。」と書いています。
交換を伴わない持ち込みで扱いが分かれるのは、この慣行が店ごとの判断だからです。
同じ通知は、市区町村側にもこう求めています。「指定一般廃棄物の処理を直接に行わない場合であっても、その処理経路等について承知しておく必要があること。」収集していない市区町村にも、処理経路を承知しておくことが求められています。案内してもらえるとは限りませんが、店を探すより先に市区町村へ電話する順番になる理由はここにあります。
(出典)環境省:廃棄物の処理及び清掃に関する法律第六条の三の規定に基づく一般廃棄物の指定について/e-Gov法令検索:廃棄物の処理及び清掃に関する法律
まず本数と状態を数える

電話の前に、手元の情報をそろえます。聞かれるのは決まって本数・ホイールの有無・サイズの3つで、これに傷みの具合が加わります。ここが答えられないと、料金も引き取りの可否も返ってきません。実家の物置は暗いので、外へ出して並べるのが早いです。写真を1枚撮れば、電話でも説明が通ります。数え方そのものは難しくなく、紙とペンと携帯電話のカメラがあれば足ります。この控えは電話でそのまま使え、長く置いたものの扱いも最後に触れます。
数えること4つ
次の4つを紙に書き出します。
- 本数(ホイール付きと、タイヤだけを分けて数える)
- ホイールの有無(付いているものはアルミかスチールか)
- サイズ(側面の刻印。205/55R16 のような並び)
- 傷み(ひび割れ、溝の残り、変形)
サイズは4本そろっているとは限りません。前後で違う車もあります。
側面の刻印の見方
タイヤの側面には、サイズのほかに製造時期を示す4桁の刻印があります。前の2桁が週、後ろの2桁が年になります。
たとえば「1219」なら、2019年の12週目という読み方になります。買取に出せるかを見るとき、この数字と溝の残りが材料になります。
長く置いたままのタイヤはどうなるか
屋外に積んだタイヤは内側に雨水がたまり、夏場は蚊の発生源になります。空き家にしてからでは確認のためだけに通うことになります。
片付けの順番は実家の片付けはどこからにまとめました。車庫と物置は後回しにされやすいので、日程を先に決めておいてください。
何年も置いたままのものでも、販売店が引き取っているとされています(本文「タイヤの処分を頼める先を比べる」)。
ホイール付きかどうかで扱いが変わる

ホイールが付いたままか、外してあるか。この違いで頼める先も費用も変わります。ゴムのタイヤは廃棄物として処理されますが、ホイールは金属で別の道があるためです。アルミホイールは値段が付くことがある一方、外す作業には手間がかかります。どちらを選ぶかは、本数と近くの店の扱いで決まります。実家に残っているタイヤは、付いたままのものと外したものが混ざっていることがほとんどです。まず手元のタイヤを、付いたままのものと外したものに分けてから読んでください。
ホイールを外すと何が変わるか
外すと、タイヤは純粋なゴムとして扱われます。引き取り料が下がるかどうかは店舗によるので、外した場合の額も聞いてください。処理業者では逆の並びもあります(費用の章で扱います)。
外したホイールは金属です。資源回収や金属くずとして出せる場合があるので、区分は自治体の案内で確かめます。
アルミとスチールの違い
見分け方は色と重さです。銀色で凹凸のあるものはアルミ、黒い鉄板に樹脂のカバー付きはスチールが多くなります。
| ホイールの種類 | 見分け方 | 買取 | 外したあとの行き先 |
|---|---|---|---|
| アルミホイール | 銀色でデザインに凹凸がある。持つと軽い | 対象になることがある。傷や曲がりで下がる | 買取に出す、金属として回収 |
| スチールホイール | 黒い鉄板。樹脂のカバーが付いていることが多い | ほぼ期待できない | 市区町村の区分に従って金属で出す |
外す作業をどこに頼むか
タイヤをホイールから外すには専用の機械が要るので、個人で外すのは現実的ではありません。販売店や整備工場に頼むと、1本あたりの作業料がかかります。外す料金と、外さないままの引き取り料は、両方を聞いてから決めてください。
売れるタイヤと、売れないタイヤ

処分の前に、売れるかどうかを一度見ます。判断は溝の残り・傷み・製造時期でほぼ決まります。実家のタイヤは何年も置かれていることが多く、溝が残っていてもゴムが硬くなっている場合があります。見るのは溝の深さ、側面のひび、刻印の4桁です。売れなくても、ホイールだけが値段になることはあります。まず見て、無理なら処分へ切り替える順番です。値が付かない前提で見ておくと、付いたときだけ得になります。手間としては、電話1本で済みます。
溝と傷みで分かれる
溝がほとんど無いものは、値が付かないことがほとんどです。ひび割れが側面まで及ぶもの、変形しているものも同じです。溝が残っていても、製造から年数が経つと引き取り価格は下がります。ゴムは置くだけでも硬くなるためです。
ホイールだけが値段になることもある
タイヤに値が付かなくても、アルミホイールは別に見てもらえます。傷や曲がりで変わります。タイヤを付けたまま買取に出せるとしている業者もあり、本文で引いた処理業者の案内にも「アルミホイールは買取します。(タイヤ付きOK)」とあります。外す作業料を払わずに済むかどうか、電話で確かめてください。
実家で他に売れるものが出てくることもあります。見分け方は実家の片付けで売れるものにまとめました。
買取に出すときの確認点
中古品の売買を業として行うには、公安委員会の古物商許可が要ります。買取をうたう相手なら番号を見てください。
売れなかったぶんを処分してもらえるかも、同じ電話で確かめられます。
(出典)e-Gov法令検索:古物営業法/NKリサイクル株式会社:ご家庭の廃タイヤ処分料金表
タイヤの処分を頼める先を比べる

主な頼み先は4つです。タイヤ販売店とカー用品店、ガソリンスタンドと整備工場、市区町村、片付け業者。これに、処理業者へ直接持ち込む道が加わります。どこでも同じ料金というわけではなく、店舗ごとに決まっています。だから比べる前に、まず受けてもらえるかどうかを聞きます。電話をかける順番も、ここで決まります。どれが正解ということはなく、本数と実家までの距離、それに急ぐかどうかで向き不向きが変わります。5つを順に見ていきます。

5つの道を並べて見る
受けてもらえる条件と運搬の扱いは、頼み先で違います。
| 頼み先 | 受けてもらえる条件 | 運搬 | 先に聞くこと |
|---|---|---|---|
| タイヤ販売店・カー用品店 | 家庭から出たもの。保管品の扱いは店舗による | 持ち込みが基本 | ホイール付きの可否、本数の上限 |
| ガソリンスタンド・整備工場 | 店によって扱いが分かれる | 持ち込みが基本 | そもそも受けているか |
| 市区町村 | 収集の対象にしない市区町村もある | ― | 持ち込み先の案内があるか |
| 片付け業者 | 家財と一緒に運べる | 引き取りに来る | 許可の番号と、どの市区町村の許可か |
| 処理業者へ直接 | 受けている業者が限られる | 持ち込みのみのことがある | 受付時間と本数の上限 |
タイヤ販売店・カー用品店
日本自動車タイヤ協会は、こう案内しています。「一般消費者がタイヤを購入した際に不要になったタイヤ(一般廃棄物の廃タイヤ)は、当該タイヤ販売店に処理費を支払って引き取ってもらうことが一般的です。」同じページには「また、自宅ガレージや物置等に保管していた、不要になったタイヤについても引き取っています。」ともあり、買い替えを伴わなくても頼める前提です。ただし同協会の会員企業の拠点・販売店についての案内で、どの店でも同じとは限りません。
ガソリンスタンド・整備工場
タイヤ交換を扱う店なら引き取りを受けている場合があります。近所で済むのが利点ですが、扱いを止めている店もあります。付き合いのある店から当たってください。
市区町村に聞く
収集の対象にしていない市区町村もあります。それでも通知が処理経路を承知しておくよう求めているため、持ち込み先を案内してもらえることがあります。条件付きで受け入れている例もあるので、案内が無いときはごみの相談窓口に電話で聞いてください。
片付け業者にまとめて頼む
実家の家財を一度に片付けるなら、タイヤも品目に入れて見積もりを取れます。確かめるのは、ごみが出る市区町村の一般廃棄物処理業(収集運搬)の許可、または委託の有無です。確認の手順は実家の片付け業者の選び方にまとめました。
処理業者に直接持ち込めるか
家庭の廃タイヤの持ち込みを受けている処理業者もあります。ある業者は「ご家庭のタイヤの回収は行っておりません。持ち込みに限ります。」として料金表を出しています。一般廃棄物の処理は市区町村の計画の枠内で動くため、直接持ち込めるかは地域と業者で変わります。
(出典)一般社団法人日本自動車タイヤ協会:廃タイヤの取扱い/NKリサイクル株式会社:ご家庭の廃タイヤ処分料金表
タイヤの処分費用は何で動くか

金額は本数・ホイールの有無・サイズ・運び方の4つで動きます。1本あたりで決まっている店が多く、ホイール付きの扱いは持ち込む先で変わります。販売店ごとの料金は店舗ごとに違うため載せません。代わりに、処理業者が家庭向けに公開している持ち込み料金を1例だけ引いて、幅の見方を示します。何が金額を動かすかを知っていれば、提示された額が妥当かどうかは判断できます。持ち込むか来てもらうかでも、総額の作りは変わります。
1本あたりの目安と、幅が出る理由
公開されている料金表を1つ見ておきます。ある処理業者が家庭向けに出している料金表です。
| 用途 | 摘要 | 価格(税込) |
|---|---|---|
| PC(乗用車) | 普通〜軽四・軽トラ | 330円/本 |
| PC SW(鉄ホイール)付 | 同上 | 220円/本 |
| RV | オフロード専用タイヤ | 440円/本 |
| AG | 農機用 | 1,210円/本 |
目を引くのは、鉄ホイール付きのほうが安いという並びです。理由までは表に書かれていませんが、外す手間のぶん上がる販売店とは逆の向きです。つまり、どこに持ち込むかで上下が入れ替わります。
なお業者のページには、指定されているから行政の処分場では受け入れできない、という趣旨の説明が付いていることがあります。指定そのものは市区町村と事業者のあいだの仕組みで、受け入れの可否は各市区町村が処理計画で決めています。
(出典)NKリサイクル株式会社:ご家庭の廃タイヤ処分料金表
金額を動かす4つ
- 本数 … 1本あたりの単価に本数を掛ける形が基本
- ホイールの有無 … 販売店と処理業者で向きが逆になることがある
- サイズ … 軽自動車用と大型のSUV用では単価が変わる
- 運び方 … 持ち込みか、引き取りに来てもらうか
このうち自分で動かせるのは、ホイールの有無と運び方の2つです。サイズと本数は変えられません。
持ち込みと引き取りの分かれ目
持ち込みは運搬費がかからない反面、実家が遠いと往復のガソリン代と時間がかかります。判断の目安は、帰省のついでに積めるかどうかです。物置に10本、20本とたまっている家もあり、その場合は単価より運搬が総額を左右します。積みきれないなら、来てもらうほうが早く終わります。ただしその場合は、ごみが出る市区町村の許可がある相手かを先に確かめます。無料をうたう回収の見分け方は「業者に頼むときの許可と、やってはいけないこと」で扱います。
電話で聞く順番
伝えることと聞くことを先に決めておけば、電話は短く済み、店側も答えやすくなります。日本自動車タイヤ協会も「引取りを希望する店舗に、事前に電話をし、廃タイヤの引取りを依頼したい旨をお伝え頂くとともに、具体的な処理費及び引取り方法をご確認下さい。」と案内しています。持ち込んでから断られる形を、ここで避けます。聞くことを紙に書いてから受話器を取ると、途中で話がそれても戻れます。そのまま使える形に並べました。
最初に伝える3つ
- 家庭から出たタイヤであること(自家用車のものか、保管していたものか)
- 本数と、ホイールが付いているかどうか
- サイズ(側面の刻印をそのまま読む)
「家庭から出たものです」と先に言うと話が早く進みます。産業廃棄物かどうかが、店側の最初の関門です。
必ず確かめる4つ
- 引き取ってもらえるか(交換を伴わなくてもよいか)
- 1本あたりの費用と、ホイール付きの場合の差
- 持ち込みの受付時間と、予約が要るかどうか
- 一度に何本まで受けてもらえるか
4つ目を落とすと、当日に半分は受けてもらえないことがあります。上限は店ごとに違うので、数字で聞きます。
断られたときの次の一手
理由を聞いておくと、次の電話が短くなります。「ホイール付きは受けていない」のか「本数が多すぎる」のかで、当たる先が変わるからです。
断られたら市区町村の窓口に戻ってください。処理経路を承知しておくよう求められているのは市区町村です。
(出典)一般社団法人日本自動車タイヤ協会:廃タイヤの取扱い
業者に頼むときの許可と、やってはいけないこと

家庭のタイヤは一般廃棄物なので、収集や運搬を業として行う側にはその市区町村の許可が要ります。許可を出すのは、ごみが出る市区町村です。ここを外した相手に渡すと、不法投棄が起きたときに排出元として経緯をたどられ、事情を聞かれることがあります。渡した相手が正しく処理したかどうかまでは、こちらからは見えません。だからこそ、渡す前に確かめられることは確かめておきます。聞くのは許可の番号と、どの市区町村の許可かの2つです。
一般廃棄物の収集運搬は市区町村の許可
条文はこうです。「一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域…を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。」
大事なのは「当該業を行おうとする区域」という部分です。運搬だけを行う場合は「積卸しを行う区域」に限られます。いずれにしても、実家のある市区町村の許可かどうかを見てください。
条文にはただし書きもあり、専ら再生利用の目的となるものだけを扱う場合などは対象から外れます。ただし「専ら再生利用の目的となるもの」は、古紙や空きびんなど限られたものを指す運用とされています。廃タイヤがこれにあたるかは自治体の判断なので、「リサイクルするから許可は要らない」と説明されたら、許可番号を聞いてください。
では販売店はどうなるのか。環境省の通知は「指定一般廃棄物の処理を業として行う特定事業者について、一定の要件を満たす場合に一般廃棄物処理業の許可を不要とする等所要の措置を講じたこと。」としています。不要になるのは「一定の要件を満たす場合」に限られます。販売店の引き取りと収集運搬の許可は別の枠だと考えたうえで、片付け業者や回収業者に頼むときは許可を確かめてください。
巡回してくる「無料回収」の車
スピーカーで巡回する車は、この許可を持っていないことがあります。答えられない相手には渡さないでください。
無料が成り立つのは、ホイールに値が付くときや、ほかの品目とまとめて採算が取れるときです。無料と言われたら、条件と引き取ったあとの経路を確かめてください。
無料をうたう場合も、内訳を聞けば形が見えます。ホイール付きだけが無料だったり、他の品目とセットが条件だったりします。無料の理由を説明できるかどうかが分かりやすい目安です。判断の材料は不用品回収は本当に無料かにまとめました。
捨てた人にかかる罰則
法律は「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」と定めています。罰則は「五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」です。空き地に置いてくる、山道に降ろすといった形がこれにあたります。この罰則が直接かかるのは捨てた者で、罰則の条文には未遂を罰する項も置かれています。
燃やす・埋めるも原則として禁止
焼却は別の条文で禁じられています。第16条の2は「何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。」と定め、処理基準に従う焼却などを除外しています。除外にあたらない焼却の罰則は不法投棄と同じ重さです。埋めるほうは、土地を売る段になって出てくると掘り出す費用がかかります。
(出典)e-Gov法令検索:廃棄物の処理及び清掃に関する法律/環境省:廃棄物の処理及び清掃に関する法律第六条の三の規定に基づく一般廃棄物の指定について
よくある質問
本文を読んだあとに残りやすい問いへ、短く答えます。費用と自治体の扱い、それに範囲の線引きが中心です。答えの根拠は本文の各節と同じ資料です。販売店ごとの料金は載せません。店舗ごとに決まっているものを、一律には書けないからです。数字で答えられないものには、どこを見て決めるかを添えました。最後の2問は、実家じまいで扱いが分かれる2つで、頼み先そのものが変わります。本文の該当する章とあわせて読んでください。
タイヤ4本の処分にいくらかかりますか
本文で引いた処理業者の持ち込み料金なら、乗用車用4本で1,320円が計算上の目安になります。鉄ホイール付きなら、同じ表で4本880円です。販売店の額は店舗ごとに違うので、本数・ホイール・サイズ・運び方の4つを伝えて聞いてください。
粗大ごみに出してもよいですか
収集の対象にしていない市区町村があります。扱いは地域で違うので、窓口に確かめてください。
自転車のタイヤも同じですか
別の扱いです。日本自動車タイヤ協会の案内も「自転車用タイヤは含みません」としています。自転車ごと手放すなら自転車の処分方法へ。
農業で使っていたタイヤはどうなりますか
事業活動に伴って生じたものは、産業廃棄物として扱われることがあります。その場合は協会の会員企業の拠点・販売店では引き取れないため、産業廃棄物収集運搬業の許可がある業者に頼む形になります。
(出典)一般社団法人日本自動車タイヤ協会:廃タイヤの取扱い
まとめ
タイヤの処分は、どこに捨てるかではなく誰に頼むかの問題です。家庭から出たものは一般廃棄物で、頼み先は販売店やカー用品店、ガソリンスタンドや整備工場、市区町村、片付け業者、それに処理業者への直接持ち込みの5つに分かれます。事業活動に伴って生じたものは産業廃棄物として扱われ、その場合は頼み先が変わります。持ち込みだけを受ける処理業者もあります。順番を間違えなければ、何年も残っていたタイヤでも片が付きます。最初の2つは現物を見て、残りは電話で進められます。
次にやること
- 物置から出して、本数・ホイールの有無・サイズ・傷みを数える
- 側面の4桁の刻印を控える(売れるかどうかの材料になる)
- ごみが出る市区町村の窓口に、持ち込み先を聞く
- タイヤ販売店に電話し、引き取りの可否・費用・本数の上限を確かめる
この記事で扱わないこと
車そのものの廃車手続きは実家の車の処分方法、家電4品目のリサイクル料金は実家の家電の処分方法にまとめています。産業廃棄物としての委託の実務、事業者向けの保管基準は範囲の外です。販売店ごとの料金表も載せていません(本文で引いたのは、処理業者が公開している持ち込み料金の1例です)。指定一般廃棄物4品目の全体像はマットレス・ベッドの処分方法、自転車は自転車の処分方法、無料をうたう回収の見分け方は不用品回収は本当に無料かにまとめています。
タイヤの扱いは市区町村と受入先によって変わります。当サイトは片付けや解体を請け負う事業者ではないため、最終的な扱いはお住まいの市区町村と、持ち込み先にご確認ください。

