実家の片付けが終わりに近づくと、台所のレンジ台に電子レンジだけが残ります。冷蔵庫やテレビの手配は終わったのに、最後の1台で手が止まります。
粗大ごみの受付で品目名を探しても電子レンジが見つからず、調べると記事によって「粗大ごみ」「不燃ごみ」「小型家電」と書いてあることが違います。この食い違いには、制度上の理由があります。
電子レンジに家電リサイクル券は要りません。 テレビや冷蔵庫とは別の小型家電リサイクル法の品目で、政令に品目名が書かれています。実際の出し方は、実家がある市区町村の区分で決まります。当サイトは片付けや不動産の売買を請け負う事業者ではなく、公的資料と条文にあたる立場から書いています。
最初の一手は、実家がある市区町村のごみ分別案内で「電子レンジ」を引くことです。ここが決まれば、使える手放し方が絞り込めます。費用は、選んだ道ごとに確かめます。
制度の運用は市区町村で違います。判断に迷う点は、実家がある市区町村の窓口に確認してください。
どこに確かめればよいか分からないときは、お問い合わせからご相談ください。個別の判断はお答えできませんが、順番の整理はお手伝いできます。
電子レンジに家電リサイクル券は要らない理由

電子レンジは家電リサイクル法の対象ではありません。リサイクル券を買う必要も、指定引取場所へ持ち込む必要もない、ということです。
家電リサイクル法が対象にしているのは4品目だけで、電子レンジはそこに入っていません。オーブンレンジでも、スチームオーブンレンジでも、温めるだけの単機能レンジでも、この点は同じです。
冷蔵庫やテレビを先に片付けた人ほど、同じ手順が要ると思い込みがちです。まず「4品目ではない」を出発点にすると、そのあとの調べ物が短くなります。
4品目はエアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の4つ
家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)が対象にしているのは、家庭用エアコン、テレビ、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、電気洗濯機・衣類乾燥機の4品目です。環境省もこの4つを挙げています。
この4品目では、製造業者等にリサイクルの義務、小売業者に引き取りの義務が課されています。消費者はリサイクル料金と収集運搬料金を負担します。
電子レンジはこの4品目に含まれません。 メーカー別のリサイクル料金表を調べる必要も、郵便局で券を用意する必要もありません。
台所にある家電のうち、この手順が要るのは冷蔵庫と冷凍庫だけです。レンジと炊飯器とトースターは、別の道になります。
(出典)環境省:家電リサイクル法の概要
オーブンレンジやスチーム式も同じ扱いになる
実家に置かれているのが単機能の電子レンジか、オーブン機能の付いた機種かで迷う必要はありません。どちらも家電リサイクル法の4品目ではないので、扱いは同じです。
スチームオーブンレンジや、天板とグリル網が付いた大型の機種も変わりません。違いが出るのは制度ではなく、重さと大きさです。
大きい機種ほど、市区町村の区分で粗大ごみに振り分けられやすくなります。この点は後段で扱います。
作り付けの棚に納まっている機種でも、取り出せる本体であれば同じ道で手放せます。
この記事で扱わないことと、先に読みたい記事
この記事は電子レンジの1品目に絞っています。台所と居間の家電をまとめて片付けたいときは実家の家電の処分方法|リサイクル料金と頼み先の選び方を先に読んでください。
4品目の側の手順は、品目ごとに記事を分けています。
- エアコン:エアコンの処分方法|実家の古い1台を家電リサイクルで手放す順番
- テレビ:テレビの処分方法|ブラウン管も液晶も、実家の1台を手放す手順
- 冷蔵庫・冷凍庫:冷蔵庫の処分方法|実家の1台を手放す順番と料金の決まり方
- 洗濯機・衣類乾燥機:洗濯機の処分方法|水抜きから運び出しまで、実家の1台を手放す手順
どれもリサイクル券が要る品目で、電子レンジとは進め方が違います。
ここから先は、実家の電子レンジ1台の話に戻ります。
政令が電子レンジを名指しする小型家電リサイクル法

電子レンジが乗るのは、小型家電リサイクル法です。正式には「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」といい、平成25年4月1日から施行されました。
この法律の対象は政令で決まっていて、その政令に「ジャー炊飯器、電子レンジその他の台所用電気機械器具」と名指しで書かれています。対象かどうかで迷う余地はありません。
そして法律の側は、家電リサイクル法の4品目を対象から除いています。2つの制度は重ならないので、電子レンジで両方を調べる必要はありません。
施行令第1条第17号に電子レンジと書かれている
小型家電リサイクル法の対象は、法第2条第1項で「政令で定めるもの」とされています。その政令が、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律施行令です。
施行令の第1条は、対象を28の分類で挙げています。その第17号が「ジャー炊飯器、電子レンジその他の台所用電気機械器具」で、括弧書きで電気冷蔵庫と電気冷凍庫が除かれています。
「その他の台所用電気機械器具」という受けがあるので、号に名前の挙がっていない台所家電も同じ区分に入ります。同じ号の括弧書きで冷蔵庫と冷凍庫が除かれているのは、そちらが家電リサイクル法の側だからです。
条文は「一般消費者が通常生活の用に供する電気機械器具であるものに限るものとし、これらの附属品を含む」とも定めています。家庭で使っていた1台なら、付属品も含めて対象になります。
(出典)e-Gov法令検索:使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律施行令
4品目を除くと条文にあるので制度は重ならない
法第2条第1項は、小型電子機器等を「一般消費者が通常生活の用に供する電子機器その他の電気機械器具」と定義しています。その括弧書きに、「特定家庭用機器再商品化法…に規定する特定家庭用機器を除く」と書かれています。
特定家庭用機器とは、家電リサイクル法の4品目のことです。つまり条文の側で最初から切り分けてあるので、1台の家電が両方の制度に乗ることはありません。
施行令の各号にも同じ除外が入っています。第3号のテレビは家電リサイクル法のテレビを除き、第18号の空調用はエアコンを除き、第19号の衣料用・衛生用は洗濯機と衣類乾燥機を除いています。
2つの制度の違いを並べると、次のとおりです。
| 家電リサイクル法 | 小型家電リサイクル法 | |
|---|---|---|
| 対象 | エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の4品目 | 政令が定める28分類(4品目を除く) |
| 料金の決まり方 | 製造業者等が公表する全国共通のリサイクル料金(収集運搬料金は別) | 全国共通の料金はない |
| 出し方 | 小売業者への引き取り依頼か指定引取場所へ持ち込み | 市区町村の区分による |
| 引き取り手 | 小売業者と製造業者等 | 市区町村と国の認定を受けた事業者(認定事業者) |
冷蔵庫と冷凍庫は、この表の左の列に乗ります。同じ台所の家電でも、行き先がここまで違います。
(出典)e-Gov法令検索:使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律
対象になる条件は運びやすさと再資源化の必要性
法第2条第1項は、政令で定める電気機械器具の条件を2つ挙げています。読むと、なぜ電子レンジが選ばれているのかが分かります。
1つは、廃棄物になったときに効率的な収集及び運搬が可能と認められるものです。もう1つは、再資源化が廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用を図る上で特に必要なもののうち、経済性の面における制約が著しくないと認められるものです。
言い換えると、集めて運ぶのに手間がかかりすぎないこと、そして取り出した資源が採算に合うことの2つです。電子レンジは、この2つを満たす品目として政令に並んでいます。
環境省は、この法律の目的を「使用済小型電子機器等に利用されている金属その他の有用なものの相当部分が回収されずに廃棄されている状況に鑑み」と説明しています。中の金属を取り出すための仕組みだ、ということです。
法律でいう「再資源化」は、使用済みの機器の全部または一部を原材料や部品として利用できる状態にすることと定義されています。
(出典)環境省:小型家電リサイクル法 〜法律の概要・関係法令〜
出し方が市区町村で分かれる理由と調べる手順

小型家電リサイクル法の対象だと分かっても、それだけでは出し方が決まりません。粗大ごみ、不燃ごみ、小型家電のどれになるかは、市区町村ごとに違います。
理由は法律の書き方にあります。市町村の分別収集は法第5条第1項に置かれていますが、区分のしかたまでは決められていないからです。
だから、この記事も「電子レンジは粗大ごみです」とは書きません。実家がある市区町村のごみ分別案内で「電子レンジ」を引くところから始めます。引き方は3つあるので、区分が分かれる理由を押さえたあとに順に挙げます。
法律は分別の区分のしかたまで決めていない
法第5条第1項は、市町村について次のように定めています。「分別して収集するために必要な措置を講ずるとともに、…認定を受けた者その他…に引き渡すよう努めなければならない」。
条文はここで終わっていて、どの区分にするかも、どう出させるかも書かれていません。 家電リサイクル法が小売業者に引き取り「義務」を課し、出し方まで定めているのとは、書き方が違います。
そのため、回収の仕組みは市区町村ごとに設計が分かれます。拠点に回収ボックスを置くところ、粗大ごみの中から選り分けるところ、不燃ごみの日に別袋で出させるところがあります。
記事によって書いてあることが違うのは、書き手が間違えているからではなく、もともと全国共通の答えがないためです。
(出典)e-Gov法令検索:使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律
ごみ分別案内で電子レンジを引く3つの調べ方
実家がある市区町村の区分は、次の3つのどれかで分かります。
- 五十音の品目一覧:ごみの分け方・出し方のページにある品目別の一覧で「て」の行を引く
- 検索窓のある分別辞典:品目名を入れると区分と出し方が出る仕組み。「電子レンジ」「オーブンレンジ」「レンジ」で試す
- 粗大ごみの受付ページ:申し込みの品目リストに載っていれば粗大ごみ。載っていなくても別の区分と決めつけず、窓口に確かめる
3つとも実家がある市区町村のページで引くのが要点です。いま住んでいる市区町村ではありません。ごみの行き先を決めるのは、ごみが出る場所の市区町村だからです。
複数の名前で探すと見つかりやすくなります。「電子レンジ」で出てこなくても「オーブンレンジ」や「電子オーブンレンジ」で載っていることがあります。
品目名が見つからないときは窓口に電話で聞く
一覧にも分別辞典にも見当たらないときは、市区町村の窓口に電話で聞くのが早道です。ごみの担当課か、粗大ごみの受付センターが窓口になります。
聞くときは、品目名と、おおよその大きさ、動くかどうかの3点を先に伝えてください。区分がその場で決まり、そのまま申し込みまで進めることもあります。
大きさは、幅と奥行きと高さを測っておくと確実です。同じ電子レンジでも、大型のオーブンレンジは粗大ごみに振り分けられることがあります。
遠方から通っている場合は、実家に行く前に電話で確かめておくと、その日のうちに出せます。
手放し方は4つ、市区町村の区分から絞り込む

区分が決まったら、手放す道を選びます。市区町村へ出す、拠点回収や認定事業者に渡す、店に引き取ってもらう、売って手放すの4つです。
どれが使えるかは区分と1台の状態で決まるので、先に区分を確定させてから比べてください。片付けごとまとめて業者に頼む道もありますが、それは相手の許可と認定を確かめる話になるので後段で別に扱います。
4つとも使える機種もあれば、区分と状態によって2つに絞られるものもあります。まだ動く新しい機種なら選べる幅が広く、壊れて動かない機種は市区町村へ出す道に寄ります。4つを並べて見比べる表は、この後ろに置きました。
市区町村へ出す道は収集と自分で持ち込みの2つ
市区町村へ出す場合、家まで取りに来てもらう収集と、処理施設へ自分で持ち込む方法の2つがあります。どちらが使えるかは市区町村によって違います。
収集を頼むときは、電話かインターネットで申し込み、指定された手数料券を買って本体に貼り、収集日の朝に指定の場所へ出す、という流れが一般的です。券はコンビニやスーパーなど市区町村が指定した取扱店で売られているので、申し込みのときに買える場所も一緒に聞いておいてください。申し込みから収集日まで日数が空くことがあるので、解体や引き渡しの予定があるなら先に申し込んでおいてください。
自分で持ち込む場合は、受け入れ品目と受付時間が決まっています。持ち込む前に、受付が電話予約制かどうかも確かめておくと二度手間になりません。
小型家電の区分で出す場合は、決まった日に別袋で出させるところがあります。出し方は、区分と一緒に案内に書かれています。拠点回収と認定事業者に渡す道は、次で扱います。
不燃ごみの区分に載っていた場合は、指定の袋に入るかどうかで扱いが変わることがあります。袋に入らない大きさなら、そのまま集積所に出してよいのか、粗大ごみの扱いに回るのかを、案内か窓口で先に確かめてください。
拠点の回収ボックスと認定事業者への引き渡し
市区町村が庁舎や公共施設などに置いている回収ボックスは、投入口の大きさが決まっています。電子レンジは対象品目から外れていたり、投入口に入らなかったりします。
入らない場合は、無理に押し込まず別の道に切り替えてください。ボックスの脇に置いて帰ると、収集されずに残ります。
拠点回収には、ボックスではなく窓口で手渡す形をとっているところもあります。その場合は本体の大きさに制限がないこともあるので、案内の書き方を読んでおいてください。
本体が投入口に入るかどうかを確かめてから行くと、往復の無駄が減ります。
拠点回収とは別に、国の認定を受けた事業者が回収を行っていることもあります。市区町村が認定事業者と連携している場合は、案内にその旨や申し込み先が書かれていることがあります。宅配便で送る形をとっているところもあるので、遠方から通っていて実家へ行く回数を増やせないなら、この道が使えるかを先に見ておいてください。
買い替えのときに店へ引き取ってもらう道
新しい電子レンジを買うなら、その店で古い1台を引き取ってもらえることがあります。電子レンジは家電リサイクル法の4品目ではないので、店に引き取りの義務はありません。
引き取りを受けるかどうか、条件はどうかは店ごとに違います。買い替えの配送と同時に持ち帰る形、店頭に持ち込む形、下取りとして値引きする形などがあります。
実家に住む人がいて新しい1台を買うなら、この道がいちばん手数が少なくなります。買う前に、引き取りの可否と条件を確かめておいてください。
買い替えないなら、この道は使えません。区分に沿って市区町村へ出すか、次の売る道を検討することになります。
売って手放す道が使えるのはどんな1台か
まだ動いていて年式も新しい電子レンジなら、売る・譲るという道があります。中古品として買い取られる場合は、処分の手数料がかからないのが基本です。ただし状態によっては引き取りを断られたり、出張費が別に要ることがあるので、先に確かめてください。
見るのは、動くかどうか、庫内やドアが傷んでいないか、ターンテーブルのガラス皿や取扱説明書がそろっているかの3点です。付属品が欠けていると、買い取りの対象から外れることがあります。
壊れている1台は、中古品として売るのが難しくなります。動かないものを「買い取る」と持ちかけられることがありますが、この形の見分け方は後段で扱います。
売る道は、買い取り店に持ち込む、出張で来てもらう、個人間で譲るの3つに分かれます。個人間のやりとりは、梱包と発送、引き渡しの立ち会いが実家では負担になりやすいところです。片付けの日程が決まっているなら、日付を約束できる相手を選んでください。
買い取りを頼むときは、中古品の売買が認められる古物商の許可を持っているかを確かめてください。買い取りだけを扱う店に、ごみとして引き取ってもらうことはできません。
4つの道を並べると、次のとおりです。
| 手放し方 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 市区町村へ出す(収集・持ち込み) | 区分が決まっている。収集は収集日まで待てる、持ち込みは車が使えて受付日時に動ける | 申し込みと手数料券が要ることが多い。持ち込みは受け入れ品目と時間が決まっている |
| 拠点の回収ボックス・認定事業者の回収 | 小型の機種で投入口に入る。認定事業者の回収が案内されている | 大きさで入らないことがある。認定事業者の回収は市区町村によって案内の有無が違う |
| 買い替え時の店の引き取り | 新しい1台を買う | 引き取りの義務はなく、条件は店ごとに違う |
| 売って手放す | まだ動く、年式の新しい1台 | 古物商の許可を確かめる。壊れていると売るのが難しい |
処理手数料は全国共通ではなく手放す道で変わる

電子レンジには、家電リサイクル料金にあたる全国共通の料金がありません。メーカー別の料金表を調べる必要はないということです。
代わりに、市区町村の手数料はその市区町村の条例と規則で決まり、店の引き取り条件や業者の料金は、それぞれの店と業者が別に決めています。当サイトが金額を書かないのはこのためです。
金額そのものではなく、どこで確かめるかと、あとから足される費用の見方を整理しました。この2つが分かれば、合計の見当は自分でつけられます。
家電リサイクル料金にあたる仕組みは存在しない
家電リサイクル法の4品目では、製造業者等が料金をあらかじめ公表し、公表した額以外を請求してはならないと同法第20条で定められています。だからリサイクル料金は、全国どこでも同じメーカーの同じ区分なら同じ額になります。
小型家電リサイクル法には、この仕組みがありません。 製造業者等が料金を公表する決まりも、消費者が料金を負担する決まりも置かれていないからです。
4品目側の料金の決まり方は実家の家電の処分方法|リサイクル料金と頼み先の選び方にまとめました。比べると、電子レンジで調べるべきものが少ないことが分かります。
そのぶん、市区町村へ出すなら、確かめる先は実家がある市区町村のページ1つに絞られます。粗大ごみなら受付ページの品目ごとの金額が、そのまま1台分の費用になります。
(出典)e-Gov法令検索:特定家庭用機器再商品化法
市区町村の手数料は条例と規則で決まっている
粗大ごみとして出す場合の手数料は、その市区町村の条例と規則で決まっています。同じ電子レンジでも、市区町村が違えば金額が違うのはこのためです。
金額は、ごみ分別案内か粗大ごみの受付ページに品目ごとに載っています。区分を調べたページに、たいてい並んで書かれています。
小型家電の拠点回収は、無料としているところがあります。ただしこれも市区町村の設計によるので、案内で確かめてください。
処理施設へ自分で持ち込む場合は、重さで料金が決まる方式をとっているところもあります。持ち込みの前に、料金の計算のしかたまで聞いておくと会計で慌てません。
無料になる道と、あとから足される費用の見方
無料になり得るのは、拠点回収に出す道、買い替えで店に引き取ってもらう道、売って手放す道の3つです。いずれも条件が合ったときだけ無料になります。
業者にまとめて引き取ってもらう場合、見積もりのあとで足されやすいのは次の費用です。家まで取りに来てもらう分の出張費、階段での上げ下ろしや作り付けから外す分の作業費、他の不用品とまとめたときの車両費です。
見積もりを取るときは、電子レンジ1台の金額と、それ以外に足される費用を分けて聞いてください。 合計だけを聞くと、何にいくらかかっているのか分からないまま契約することになります。
パソコンのように、別の制度でメーカーが無料で引き取る家電もあります。混同しやすいので、パソコン処分の方法|無料になる条件とデータ消去の順番に条件をまとめました。
無料回収は許可の有無だけで切ると判断を誤る

実家のポストに入る「小型家電の無料回収」のチラシや、住宅街を回る巡回車をどう見るかは、判断が分かれるところです。
家庭から出た廃棄物を集めて運ぶには、原則として市区町村の一般廃棄物処理業の許可か委託が要ります。ただし小型家電リサイクル法には、国の認定を受けた事業者は、その認定に係る小型家電に限って許可を受けずに集められるという条文上の例外があります。
つまり「許可がないから違法」と決めつけると、判断を誤ります。許可か、委託か、認定か——このどれかがあるかを確かめる、というのが正しい見方です。
家庭のごみを回収できるのは許可か委託がある人
環境省は「ご家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の『一般廃棄物処理業許可』や委託が必要です。『産業廃棄物処理業の許可』や『古物商の許可』では回収できません」と明記しています。
廃棄物処理法第7条第1項も、一般廃棄物の収集や運搬を業として行うには市町村長の許可が要ると定めています。許可は市町村ごとに出るものなので、確かめるのはごみが出る市区町村の許可です。
古物商の許可は、中古品を売買するための許可です。買い取りはできても、ごみとして集めることはできません。
産業廃棄物処理業の許可も、家庭のごみには使えません。チラシに許可番号が並んでいても、種類が違えば意味が変わります。
(出典)環境省:廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!
認定事業者は許可なしで集められる条文上の例外
小型家電リサイクル法は、再資源化事業を行おうとする者が計画を作って主務大臣の認定を申請できる、と定めています。
そして法第13条第1項は、「認定事業者は、廃棄物処理法第七条第一項…の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで」と書き出しています。認定に係る使用済小型電子機器等の再資源化に必要な行為を、業として実施することができる、という条文です。
環境省も、この法律の内容として「認定を受けた再資源化事業計画に従って行う事業についての廃棄物処理業の許可等に関する特例」を挙げています。
認定事業者から委託を受けた者も、認定計画に記載されていれば同じ扱いになります。許可がなくても合法な相手がいるのは、この条文があるからです。
(出典)e-Gov法令検索:使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律
(出典)環境省:小型家電リサイクル法 〜法律の概要・関係法令〜
チラシや巡回車に渡す前に確かめる3つのこと
無料をうたう相手だけの話ではありません。有料でまとめて引き取ってもらう場合も、確かめることは同じです。渡す前に確かめるのは、次の3点です。
- 立場:ごみとして集めるのか、中古品として買い取るのか。前者なら許可か委託か認定、後者なら古物商の許可
- 裏づけ:許可や認定を出したのはどこか。許可なら市区町村名、委託なら市区町村の案内に業者名が載っているか、認定なら国の認定であることと、認定に係る品目と地域まで聞く
- 料金:作業前に、追加料金の有無を含めて金額が示されるか
動かない1台の買い取りを持ちかけられたときは、何を目的とした取引なのかを確かめてください。ごみとして集めるのであれば、確かめるのは古物商の許可ではなく、一般廃棄物処理業の許可か市区町村の委託か認定のほうです。
その場で答えられない相手には渡さない、が安全側の線です。相手が国の認定を名乗るなら、実家がある市区町村の案内に連携先として出ていないかを見ると、その場で裏が取れることがあります。
無料がなぜ無料になるのかは不用品回収の「無料」はなぜ無料?仕組みと確かめ方に整理しました。この記事の3点と合わせて読むと、判断が早くなります。
渡した先が不法投棄した場合、廃棄物処理法は捨てた本人と、その法人を罰します。頼んだ側については、許可も委託も認定もないと分かっていて渡した場合と、案内どおりに確かめたうえで渡した場合とでは、扱いが変わります。渡す前に確かめておくに越したことはありません。
(出典)e-Gov法令検索:廃棄物の処理及び清掃に関する法律
引き渡す前に外すのはガラス皿とアース線の2つ

区分と頼み先が決まったら、引き渡す前の準備です。まず電源プラグを抜きます。 そのうえで、ターンテーブルのガラス皿とアース線を外し、庫内を拭いて付属品をまとめます。
順番に意味があるのはアース線のところだけで、あとは前後してもかまいません。時間がないときは、プラグとアース線だけ先に外しておけば、庫内を拭くのは次に来た日でも間に合います。
そして、内部に手を入れないでください。 電源を抜いたあとでも、触れてよい構造ではありません。ここだけは、急いでいても守ってください。
ターンテーブルのガラス皿は本体から外して扱う
多くの電子レンジには、庫内で回るガラスの皿とローラーが入っています。本体に入れたまま出すと、運搬中に動いて割れることがあります。
市区町村へ出す場合は、ガラス皿を本体と別に出すのかを分別案内か窓口で確かめてください。 ガラスは本体の金属やプラスチックとは素材が違うので、市区町村の区分でも別になっていることがあります。売る・譲る場合は、外したガラス皿も付属品としてそろえて渡します。
区分は、割れ物やガラス製品の項目で調べられます。品目一覧に「ガラス皿」がなければ、区分を聞くときにガラス皿の扱いも一緒に聞いておくと、1回の電話で済みます。
フラットテーブルの機種にはガラス皿がありません。庫内を見て、外れる皿があるかどうかを先に確かめます。
電源プラグを抜いてからアース線を外す順番
電子レンジは、コンセントのアース端子にアース線をつないで使う機種があります。取り外すときは、電源プラグを先に抜いてから、アース線を外します。
順番が逆だと、機器に電気が流れている状態でアースだけが外れることになります。取扱説明書に取り外しの手順が書かれていることがあるので、残っていれば先に目を通してください。
アース端子はカバーが付いていることが多く、ドライバーで開けてからねじを緩めます。無理に引っ張ると、線が切れたりコンセント側を壊したりします。
外したアース線は本体に付いたままでかまいません。テープで本体に留めておくと、運搬中に引っかかりません。
庫内を拭いて付属品をまとめる、分解はしない
庫内に食品の汚れが残っていると、運ぶ人にも次の工程にも迷惑がかかります。固く絞った布で拭き、乾かしてから運び出してください。
天板、グリル網、レシピ本などの付属品は、まとめて本体に入れるか、別にして一緒に出します。区分が本体と違う場合は分けて出すことになるので、案内に目を通しておいてください。
分解や部品取りはしないでください。 電子レンジの内部には高電圧の部品があり、電源を抜いたあとでも危険が残ります。金属の回収は、引き取った先の工程で行われます。
品番や製造年が書かれた本体のシールは、剥がさずに残しておいてください。区分を聞くときや引き渡しのときに、機種を伝えやすくなります。マグネットやあとから貼られた紙だけ外しておきます。
重いオーブンレンジと複数台をどう運び出すか

実家の電子レンジを処分するときに多いのは、重いオーブンレンジがある、台所に2台以上ある、遠方から通う、解体の日が決まっているの4つです。
どれも進め方は同じで、違うのは日程と人手の組み方です。収集日や引き渡し日から逆算して段取りを決めると、無駄な往復が減ります。
とくに大型のオーブンレンジは、見た目より重いことがあります。持ち上げてから気づくと、体を痛め、家も傷つけます。下ろす前に、運ぶ人数と経路、床に敷くものまで決めておいてください。
重い1台はひとりで下ろさず経路を先に決める
大型のオーブンレンジは、レンジ台の上や吊り戸棚の下に置かれていることが多くあります。ひとりで抱えて下ろさず、2人で持つ段取りにしてください。
作り付けの棚に納まっている場合は、先に本体だけを取り出せるかを確かめます。棚板を外さないと出せない機種もあり、その場合は工程が1つ増えます。
下ろす前に、床に毛布か段ボールを敷いておいてください。落としたときの傷が浅くなり、そのまま滑らせて運べます。
台所から玄関までの経路は、いちばん狭いところの幅を測っておくと確実です。扉の開き方も見ておきます。
台所に2台以上あるときは区分をまとめて確かめる
古い1台を使わずに残したまま、新しい1台を使っているお宅があります。片付けのときに2台まとめて出せると、訪問の回数が1回で済みます。
区分の調べ方は先に挙げたとおりなので、ここでやることは申し込みと引き渡しを1日にまとめる段取りです。粗大ごみなら申し込みのときに2台と伝え、手数料券も台数分を用意します。
炊飯器やトースターも同じ小型家電リサイクル法の対象です。台所の小型家電をまとめて出すなら、区分を1回で聞いておくと電話が減ります。
売れるのは新しいほうの1台だけ、ということもあります。その場合は、売る道と市区町村へ出す道を並行して進めます。
遠方から通う場合と解体前は日程から逆算する
遠方から通っていると、実家に行ける日が限られます。先に電話で区分の確認と申し込みを済ませ、行く日に出すという組み立てにすると、1回の訪問で終わります。
粗大ごみの収集は、申し込みから収集日まで日数が空くことがあります。行く日が決まっているなら、その日に間に合う申し込みができるかを先に聞いてください。券も実家がある市区町村の取扱店で買うことになるので、行く日にどこで買えるかを申し込みのときに聞いておきます。
解体が決まっている家では、電子レンジを家財として先に手放すのが基本です。解体工事で出るのは建物の廃材で、家財とは扱いが分かれます。
業者にまとめて頼むときの許可の確認と見積もりの比べ方は実家の片付け業者の選び方|許可の確認と見積もりの比べ方で扱っています。
まとめ|電子レンジの処分は分別案内の確認から
電子レンジの処分に、家電リサイクル券は使いません。家電リサイクル法の4品目ではなく、小型家電リサイクル法の対象で、政令が品目名を名指ししています。
決め手は実家がある市区町村の区分ひとつです。まずごみ分別案内で「電子レンジ」を引き、載っていなければ窓口に品目名と大きさを伝えます。
区分が決まったら、使える手放し方を絞り、頼み先の条件と費用を確かめます。あとは電源プラグを先に抜いてからアース線を外し、ガラス皿と付属品をまとめて、運ぶ人数を決めます。
実家じまい全体の進め方は実家じまいとは?進め方の全手順と費用相場にまとめました。どこに確かめればよいか分からないときはお問い合わせからご相談ください。

