実家のタンスを処分する方法は、粗大ごみに出す、買取に出す、片付け業者にまとめて頼む、譲るの4つです。多くの家庭でいちばん安く済むのは市区町村の粗大ごみですが、運び出せるかどうかで選べる方法が変わります。
大型のタンスでは、2階から下ろせない、階段を曲がれない、ひとりでは動かせないという壁に当たります。費用より先に「どうやって家から出すか」を考えると、無駄な手間がなくなります。
この記事では、出し方ごとの費用の目安、中身の片付け方、搬出の段取りを整理します。家電の処分はここでは扱わず、記事末にリンクを置いています。当サイトは回収業者でも買取店でもなく、公的資料を確認して実家じまいの実務をまとめているガイドです。片付けの順番は実家の片付けはどこから?迷わない順番と進め方をご覧ください。
中身を出すのが最初の作業

タンスの処分でつまずくのは、中身が残ったまま「どう捨てるか」を考え始めるからです。引き出しの中には衣類だけでなく、通帳、印鑑、権利証、保険証券、手紙が入っていることがあります。片付けを急いで中身ごと運び出してしまうと、相続の手続きで必要な書類を失います。まず全部の引き出しを開け、中身を出してから、家具そのものの扱いを決めてください。引き出しを抜けば本体は軽くなり、運び出しも楽になります。作業としては地味ですが、ここを飛ばした人ほど、あとで探し物に時間を取られます。
出てきやすいもの
- 現金、通帳、印鑑、キャッシュカード:桐たんすの奥や、和服の間から出ることがあります
- 権利証、契約書、保険証券:相続の手続きで必要になります
- 年金や医療の書類:手続きの控えが束で出てきます
- 写真、手紙、日記:捨てる前に家族に確認してください
- 貴金属、時計、記念硬貨:小さい箱に入って紛れています
出した中身の分け方
出した中身は、すぐに捨てるもの、保管するもの、家族に見てもらうものの3つに分けます。判断がつかないものは保管の箱へ入れてください。あとから捨てることはできますが、捨てたものは戻りません。食器棚から出てきた器そのものの出し方は食器の捨て方|素材で分けて市区町村の区分で出す手順と量の目安で扱っています。
衣類は量が多くなります。着物は別に分けておくと、あとで買取や供養の判断がしやすくなります。着物の扱いは着物の処分方法は?売る・譲る・供養の選び方にまとめています。
衣類は量を先に減らす
タンスの中身でいちばん量があるのは衣類です。先に衣類を減らせば、家具の判断は一気に楽になります。着られる状態のものは寄付や譲渡に回せますし、傷んだものは市区町村の区分に従って処分します。
礼服や和装小物は、まとめて査定に出せることがあります。1点ずつ判断すると手が止まるので、種類ごとに箱へ入れて、あとで一括して決めるほうが進みます。
引き出しは抜いておく
引き出しを抜くと、本体はかなり軽くなります。運び出す当日ではなく、前もって抜いておくと作業が早く終わります。抜いた引き出しは重ねず、順番が分かるように並べておいてください。ソファは引き出しの代わりに背もたれと脚が外れることがあります。測り方と出し方はソファの処分方法|自分で運び出せるかを測ってから出し方を決めるにまとめました。
処分方法は4つ、選ぶ基準は搬出

出し方は4つありますが、選ぶ基準は費用ではなく家から出せるかどうかです。市区町村の粗大ごみは費用が抑えられる一方、指定の場所まで自分で運ぶ必要があるのが基本です。集合住宅の上階や、階段が狭い家では現実的でないこともあります。買取は状態と作りによって可否が分かれ、片付け業者は運び出しまで含みますが費用は上がります。まず搬出の可否を判断して、そこから方法を選んでください。判断がつかないときは、玄関までの通路の幅と、階段の曲がり角を測っておくと相談が早く進みます。同じ測り方は冷蔵庫にも使えます。搬出から逆算する段取りは冷蔵庫の処分方法|実家の1台を手放す順番と料金の決まり方にも書きました。

| 方法 | 費用の考え方 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 市区町村の粗大ごみ(戸別収集を含む) | 手数料は市区町村ごとに定められています | 指定の場所か玄関先まで出せる |
| 買取 | 値段がつけば収入になります | 作りがよく、傷や汚れが少ない |
| 片付け業者 | 運び出しを含む料金です | 運べない、量が多い |
| 譲る | 運送費だけで済むことがあります | 引き取り手がいる |
粗大ごみに出すとき
市区町村の粗大ごみは、申し込み、手数料の納付、指定の日時に出すという流れが一般的です。手数料の額と申し込み方法は市区町村ごとに違うため、実家がある市区町村の案内を見てください。
大きさによって扱いが変わることもあります。分解して小さくすれば普通ごみとして出せる市区町村もあれば、大きさにかかわらず粗大ごみとする市区町村もあります。
戸別収集という選択肢
市区町村によっては、家の前まで取りに来る戸別収集を行っています。集積所まで運べない場合に助かる仕組みです。
申し込みの方法、手数料、出せる場所(玄関先か、道路に面したところか)は市区町村ごとに違います。運び出しは自分たちで行う前提であることが多いので、そこは確認してください。
分解してよいか確認する
タンスを分解して小さくすれば、粗大ごみの手数料が下がる、あるいは普通ごみに出せる場合があります。ただし、分解には工具と力が要り、釘やねじで怪我をすることがあります。
無理に壊すと、割れた木材が飛んで危険です。分解を前提にする前に、市区町村の区分を確認してください。分解しても粗大ごみのままなら、労力をかける意味がありません。
買取に出せるタンス、出せないタンス

値段がつく可能性があるのは、桐たんす、和家具、無垢材で作られた家具、有名なメーカーの家具です。一方、合板の量産品、傷や汚れの多いもの、洋服ダンスとして一般的なサイズのものは、値段がつきにくい傾向があります。古いことと価値があることは別なので、見た目が古びているからと最初から捨てないでください。中古品を買い取って売る営業を行うには、都道府県公安委員会の許可を受けた古物商であることが必要と定められています。
(出典)e-Gov法令検索:古物営業法
桐たんすは別扱いになることがある
桐たんすは、削り直して仕立て直せるため、専門の職人や業者が扱っています。傷んでいても、木自体に価値が残っていることがあります。
見た目で判断せず、桐たんすを扱う店に写真を送って聞いてみるのが確実です。運び出す前に分かれば、動かす回数が一度で済みます。
和家具として値がつきやすいもの
- 桐たんす:前述のとおり、削り直して仕立て直せます
- 時代たんす、階段たんす:銘や作りで評価が分かれます
- 無垢材の整理たんす:木の種類と厚みが見られます
- 作家名や産地が分かるもの:銘や刻印が残っていると評価に効きます
- 金具が凝っているもの:鉄製の飾り金具は判断の材料になります
引き出しの内側や背板に、製造元の紙が貼られていることがあります。査定を頼む前に確認して、写真に撮っておいてください。
査定を頼むときの手順
- 正面、側面、内部の写真を撮る:引き出しを開けた状態も撮ります
- サイズを測る:幅、高さ、奥行きを控えます
- 傷や汚れを正直に伝える:隠すと、あとで減額される原因になります
- 複数の店に聞く:同じ家具でも評価は分かれます
- その場で決めない:家具だけの訪問買取では書面が交付されないこともあります
訪問買取(法律上は訪問購入)にあたる取引では、法定の事項が記載された書面を受け取った日から数えて8日以内であればクーリング・オフができます。ただし、家具は適用除外の物品とされており、除外の効果はクーリング・オフだけでなく、契約書面の交付義務を含む訪問購入の規定全体に及びます。タンスだけの取引なら、書面そのものが交付されないこともあります。同じ訪問で貴金属など除外にあたらない品も査定してもらう場合は、その品には規定が働きます。「あとから取り消せる」と考えず、その場で決めないことのほうが大事です。
(出典)国民生活センター:訪問購入(訪問買い取り)のトラブルを防ぐには
業者に頼むときの費用と確認点

運び出しができない場合は、業者に頼むことになります。家庭から出るごみを運べるのは、その区域を管轄する市町村長の許可を受けた業者か、市区町村から委託を受けた業者に限られます。確認するのは、ごみが出る市区町村の許可または委託です。「無料で回収します」と近所を回る事業者に頼んだ結果、あとから高額を請求されたという相談も寄せられています。頼む前に、誰が運ぶのかと、何が無料で何が有料かを聞いてください。この2つを書面で確かめておけば、多くのトラブルは避けられます。

見積もりで見るところ
- 作業の範囲:運び出し、階段作業、養生がどこまで含まれるか
- 追加費用が出る条件:想定より量が多かった場合の扱い
- 処分費の内訳:「一式」ではなく品目ごとに分かれているか
- キャンセルの条件:日程を変えたときの扱い
- 許可の主体:どの市区町村の許可か、委託か
相見積もりの取り方
業者に頼むなら、同じ条件で複数社に聞くのが基本です。伝えるのは、品目と数、階数とエレベーターの有無、通路の幅、作業できる日時の4つです。
条件がそろっていない見積もりは比べられません。紙に書いて同じ内容を渡すと、返ってくる金額の差が意味を持つようになります。
単品で頼むと割高になりやすい
タンス1棹だけを業者に頼むと、出張費や車両費の割合が大きくなり、割高に感じられます。ほかにも処分するものがあるなら、まとめて頼んだほうが1点あたりの費用は下がります。
業者選びの考え方は実家の片付け業者の選び方|許可の確認と見積もりの比べ方、トラブルの実例は遺品整理業者のトラブル事例と防ぎ方|契約前の確認点にまとめています。
(出典)e-Gov法令検索:廃棄物の処理及び清掃に関する法律/国民生活センター:不用品回収サービスのトラブル
搬出の段取りと安全の確保

家具の事故は、運び出しの当日に起きます。階段で足を滑らせる、指を挟む、壁や床を傷めるといったことが実際に起こります。タンスは見た目より重く、上階から下ろす作業は2人でも危険です。運び出す前に、通り道の家財をどけ、床と壁を養生し、履物を決めておいてください。作業する人の年齢と体力を考えて、無理そうなら業者に頼むほうが結果的に安く済みます。怪我をすれば、費用の差どころの話ではなくなります。作業のあいだは、玄関を開けたままにしておくと出入りが楽になります。
当日までにやっておくこと
- 引き出しを抜いておく:本体が軽くなり、抜けて落ちる事故も防げます
- 通り道を空ける:玄関までの家財、靴、傘立てをどけます
- 床と壁を養生する:毛布や段ボールを床に敷き、壁には当て板を立てます
- 扉を固定する:開き戸や、抜けない引き出しは養生テープで留めます
- 人数を確保する:階段があるなら3人はほしいところです
出す前に測る寸法
| 測るところ | 何のために |
|---|---|
| タンスの幅・高さ・奥行き | 通路と階段を通せるかの判断 |
| 通路のいちばん狭いところ | まっすぐ運べるかの判断 |
| 階段の幅と曲がり角の対角 | 角で回せるかの判断 |
| 玄関の開口部 | 最後に出せるかの判断 |
| 集合住宅ならエレベーターの内寸 | 階段を使わずに済むかの判断 |
通れるかを測っておく
タンスが階段や通路を通るかどうかは、幅と高さ、そして曲がり角で決まります。まっすぐの通路は通っても、角で回せないということが起こります。
数字を控えておけば、業者に電話したときにその場で判断してもらえます。
集合住宅の場合
エレベーターに入らない、共用部を通れないという場合があります。管理規約で搬出できる時間帯が決まっていることもあるため、管理会社に事前に確認してください。
養生が必要な範囲も管理会社が指定していることがあります。当日に断られると日程が組み直しになります。着工の前に、管理会社へ一度連絡を入れてください。
譲る・使い続けるという選択

処分だけが答えではありません。桐たんすや作りのよい和家具は、仕立て直して使い続けられることがあります。きょうだいや親族の中に引き取りたい人がいるかもしれません。地域によっては、公共施設や団体が家具を必要としている場合もあります。ただし、譲る場合も運送費はかかります。「無料で引き取ってもらえる」と決めつけず、運ぶ費用を含めて考えてください。距離と大きさによっては、処分するより高くつくこともあります。
引き取り手が見つかりやすい家具
- 食器棚やチェストなど、サイズが標準的なもの:置き場所を選びません
- 状態のよい学習机:使う人がいれば需要があります
- 本棚:分解できるものは運びやすく、引き取られやすい傾向があります(中身を出さないと運べません。本そのものの分け方は本の処分方法|実家の本を資源に出す・売る・頼むの分け方にまとめています)
- 和家具:好む人には歓迎され、状態がよければ引き取り手がつきます
譲るときに伝えること
- サイズと重さ:運べるかどうかを先に判断してもらいます
- 傷や汚れの状態:写真で正直に伝えます
- 搬出の条件:階段か、エレベーターがあるか
- 引き渡しの日程:家の明け渡しに間に合うか
引き取り手が見つからないまま日程だけが迫ると、結局は急いで業者に頼むことになります。期限を決めて、それまでに決まらなければ処分に切り替えると決めておくと迷いません。
家に残して売る方法もある
家ごと売却する場合、家具を残したまま引き渡すという選択肢が出てくることがあります。買主が使いたいと言えば、運び出す費用が丸ごと不要になります。
ただし、これは売買の条件として決めるものです。不動産会社に相談せずに残しておくと、引き渡し前の撤去を求められます。家の売り方は空き家の売却方法は?仲介と買取の選び方と流れで扱っています。
売れるものとの区別
家具以外にも、実家には値段がつくものが残っています。何が売れるのかの見分け方は実家の片付けで売れるものは?見分け方と売り先にまとめました。家具と一緒に査定してもらえば運ぶ手間は一度で済みますが、貴金属や骨とうなど専門の店があるものは、分けて出すほうが安く見られにくくなります。
家の売却や解体が決まっている場合

家を売る、あるいは解体すると決まっているなら、家具の処分は日程から逆算します。引き渡しの日までに家財を運び出す条件が付いていることが多いため、その日から順に業者や収集の日程を押さえます。粗大ごみは申し込みから収集まで日数がかかり、繁忙期は数週間先になることもあります。「まだ先だから」と後回しにすると、選べる方法が業者一択になり、費用も上がります。買取や譲渡を考えているなら、なおさら時間の余裕が要ります。
逆算して押さえる順番
- 引き渡しや解体の日を確認する:家を空にする期限がいつかを把握します
- 粗大ごみの収集日を調べる:申し込みから何日かかるかを確認します
- 買取や譲渡の期限を決める:決まらなければ処分に切り替えます
- 業者の見積もりを取る:繁忙期は早めに押さえます
- 当日の人手を確保する:立ち会う人を決めておきます
解体する場合でも、家の中に残った家具は家屋の廃材とは区分が異なり、一般廃棄物として扱われます。解体工事の許可だけでは回収できないため、原則は所有者が解体の前に市区町村のルールに従って処分することになります。解体業者に任せるなら、見積もりに家財の撤去が含まれているかに加えて、一般廃棄物処理業の許可か市区町村からの委託があるかまで確認してください。解体費用の考え方は家の解体費用はいくら?内訳と見積もりの比べ方にまとめています。
まとめ:搬出から逆算して方法を決める
タンスの処分は、中身を出す、搬出できるか判断する、方法を決めるという順番で進めます。引き出しの中から通帳や権利証が出てくることがあるため、中身を出す作業を飛ばしてはいけません。引き出しを先に抜くだけでも、当日の負担は大きく変わります。順番を逆にして先に処分方法を決めると、当日になって運び出せないことが分かり、日程を組み直すことになります。金額の差よりも、この手戻りのほうが実家じまい全体では痛手になります。
方法は、市区町村の粗大ごみ、買取、片付け業者、譲るの4つです。費用がいちばん抑えられるのは粗大ごみですが、指定の場所まで運べることが前提になります。運べないなら業者に頼むほうが安全です。桐たんすや作りのよい和家具は、値段がつくことも、仕立て直して使い続けられることもあります。
この記事では、家電の処分と、家財全体の片付け費用は扱っていません。家電は実家の家電の処分方法|リサイクル料金と頼み先の選び方、費用の全体像は実家じまいの費用はいくら?内訳と総額の目安、抑える方法をご覧ください。
大きな家具が家から出ると、片付けは一気に進んだように感じられます。焦らず、安全を優先して段取りを組んでください。

