実家の車の処分方法|名義が親のままのときの手続き

捨てにくいモノの始末

実家に残された車は、名義が亡くなった親のままだと、売ることも廃車にすることもできません。まず車検証を見て、所有者の欄に誰の名前が書かれているかを確認してください。

ここでよくあるのが、所有者が販売会社やローン会社になっているというケースです。ローンが残っていた車では、支払いが終わっていても名義が戻されていないことがあります。

この記事では、名義の確認から、乗り続ける場合と手放す場合それぞれの手続き、相続がからむときの書類までを整理します。当サイトは自動車販売店でも解体業者でもなく、公的資料を確認して実家じまいの実務をまとめているガイドです。個別の判断は運輸支局や専門家にご確認ください。手続き全体の期限は相続手続きの期限一覧|起算点と後回しにできない順番をご覧ください。

まず車検証で名義を確認する

車検証を広げて名義を確かめているところ

最初にやることは、車検証(自動車検査証)を見つけて、所有者と使用者の欄を確認することです。この2つは別々に記載されており、所有者が販売会社やローン会社になっていることがあります。所有者が第三者なら、名義変更や廃車の手続きにはその会社の書類が必要です。車検証は車内のダッシュボードに入っているのが一般的ですが、実家の書類の束から出てくることもあります。見つからない場合は、普通車なら運輸支局、軽自動車なら軽自動車検査協会で再交付を受けられます。

確認する項目

車検証の欄 見るところ
所有者の氏名または名称 親の名前か、販売会社・ローン会社か
使用者の氏名または名称 実際に乗っていた人
有効期間の満了する日 車検が切れていないか
自動車登録番号 ナンバープレートの番号
車台番号 車体に打刻された固有の番号。手続きで使うので控えておく

所有者が販売会社のとき

ローンで購入した車は、完済するまで所有者が販売会社やローン会社のままになっていることがあります。これを所有権留保といいます。

完済していれば、販売会社に連絡して所有権解除の書類をもらうところから始まります。完済していない場合は、残債の扱いを含めて相談することになります。この書類が届くまで数週間かかることもあります。早めに連絡しておくと安心です。

連絡するときは、車検証を手元に置いて次の情報を伝えると話が早く進みます。

  • 車台番号と登録番号:車検証に書かれています
  • 契約者の氏名:亡くなった方の名前で契約されています
  • 亡くなったこと:相続の手続きだと伝えます
  • 完済しているかどうか:分からなければ調べてもらえます

軽自動車は手続きが違う

普通車の手続きは運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会が窓口です。必要な書類も異なり、軽自動車のほうが簡素な場合があります。

どちらにあたるかはナンバープレートの色と車検証で分かります。問い合わせ先を間違えると二度手間になるので、先に確認してください。

軽自動車では、相続による名義変更に遺産分割協議書ではなく、申請者以外の相続人の同意を示す書式で足りることがあります。普通車より書類が少なくて済むぶん、手続きの案内も窓口ごとに違います。実家の所在地を管轄する事務所に、必要書類を先に聞いてください。

乗り続けるなら名義変更が要る

名義変更の申請書類と印鑑

家族の誰かが乗り続けるなら、移転登録(名義変更)の手続きをします。道路運送車両法では、登録自動車について所有者の変更があったときは、新所有者は、その事由があった日から15日以内に、国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければならないと定められています。相続の場合も、名義を移す手続きが必要です。車検証の名義が変わらないまま乗り続けると、自動車税の通知や事故のときの手続きで支障が出ます。売却や廃車のときにも、名義がそろっていないと先へ進めません。実家の相続登記と同じで、あとになるほど書類を集めにくくなります。

実家の車をどうするかの分かれ道

名義変更に必要なもの

  • 車検証:原本が必要です
  • 戸籍謄本など:亡くなった方と相続人の関係が分かるもの
  • 遺産分割協議書:誰がその車を取得するかを記したもの
  • 新所有者の印鑑証明書と実印
  • 車庫証明:新しい保管場所のもの(軽自動車は届出のことがあります)

遺産分割協議書の作り方は遺産分割協議書の書き方は?記載事項と印鑑の注意点にまとめています。車も財産のひとつなので、協議書に車台番号まで書いて特定してください。

自動車保険の名義も変える

車の名義を変えたら、任意保険の契約者と被保険者も変更します。名義が違ったままだと、事故のときに支払いを受けられないおそれがあります。

等級を引き継げるかどうかは、保険会社と親族の範囲によります。同居の親族なら引き継げることが多いので、契約している保険会社に確認してください。

亡くなった方が契約者だった場合、保険会社への連絡が遅れると補償が切れていることがあります。車を動かす前に、契約が生きているかどうかを確かめてください。実家の火災保険も同じ事情があり、空き家の火災保険はどうなる?継続の可否と保険料にまとめています。

手放すときの3つの道

中古車販売店の駐車場に並ぶ車

手放すなら、売る、引き取ってもらう、廃車にするの3つです。年式が新しく状態がよければ買取に出せますし、動かない車でも部品や鉄として値がつくことがあります。まったく値がつかない場合は、費用を払って引き取ってもらう形になります。どの道を選んでも、名義の整理は先に必要です。名義が亡くなった親のままでは、売買も廃車も進みません。まず車検証を見て、そのあとで行き先を決めてください。動くかどうか、車検が残っているかどうかで、声をかける先が変わります。

選び方の目安

車の状態 向いている道
年式が新しく、車検も残っている 買取店やディーラーへ
動くが年式が古い 買取と引き取りの両方で見積もりを
動かない、事故車 解体を扱う事業者へ
長く放置され、書類もない 運輸支局(軽自動車は軽自動車検査協会)に相談してから

買取に出すとき

中古車の買取を業として行うには、古物営業法にもとづく都道府県公安委員会の許可が必要です。許可番号を示せるかどうかを確認してください。

複数社に査定を頼み、引き取り費用が含まれているかまで聞いてください。動かない車は運搬費がかかるため、査定額から差し引かれることがあります。

査定を頼むときは、次の点を先に伝えておくと再見積もりを避けられます。

  • 名義が亡くなった親のままであること
  • 書類がそろうまでの見込み:戸籍の取り寄せに日数がかかります
  • 車が動くかどうか:積載車が要るかで金額が変わります
  • 引き取りに来られる場所:門から道路までの幅も伝えます

引き取りを頼むとき

使用済自動車の引き取りは、都道府県知事の登録を受けた引取業者が行います。自動車リサイクル法では、自動車の所有者は、当該自動車が使用済自動車となったときは、引取業者に当該使用済自動車を引き渡さなければならないと定められています。

「無料で引き取ります」と持ちかけられても、登録された引取業者かどうかを確認してください。あとから費用を請求される、適正に処理されないといったことが起こる場合があります。

(出典)e-Gov法令検索:古物営業法/使用済自動車の再資源化等に関する法律

廃車の手続きは2種類ある

解体を待つ車と作業場

廃車には、一時抹消登録と永久抹消登録の2つがあります。もう乗らないが車体は残しておく場合が一時抹消、解体して車体がなくなる場合が永久抹消です。道路運送車両法では、登録自動車の所有者は、前二条に規定する場合を除くほか、その自動車を運行の用に供することをやめたときは、一時抹消登録の申請をすることができるとされています。永久抹消登録のほうは、登録自動車が滅失し、解体し、または自動車の用途を廃止したときに、その事由があった日(解体の場合は解体報告記録がなされたことを知った日)から15日以内に申請しなければならないと定められています。

廃車手続きの流れ

一時抹消登録

すぐに解体せず、しばらく置いておく、あるいは売る予定があるという場合に使います。ナンバープレートを返納し、公道を走れない状態にする手続きです。

自動車税の課税が止まるという効果もあります。再び乗るなら、中古車新規登録という手続きで戻せます。

永久抹消登録

解体したときの手続きです。起算点は「解体した日」ではなく、情報管理センターに適正に解体された旨の報告がされたことを証する記録(解体報告記録)がなされたことを知った日から15日以内とされています。

引取業者に引き渡すと、解体報告記録がなされたことを引取業者から通知してもらえる仕組みになっています。手続きを業者が代行してくれることも多いので、依頼するときに確認してください。

申請しないとどうなるか

永久抹消登録の申請をしないときは、国土交通大臣が7日以上の期間を定めて催告し、それでも正当な理由なく申請しないときは、職権で永久抹消登録がされると定められています。職権で抹消されるまでの間は、自動車税の通知が届き続けることになりかねません。

(出典)e-Gov法令検索:道路運送車両法

リサイクル料金と自動車税

自動車税の納税通知書と電卓

車には、自動車リサイクル法にもとづくリサイクル料金が預託されています。新車の購入時などに預けられているもので、車を売るときは次の所有者から相当額を受け取り、廃車にするときは預けた分が使われるという仕組みです。預託済みかどうかは、リサイクル券、または自動車リサイクルシステムのリサイクル料金検索で確認できます。あわせて、自動車税の扱いも確認してください。抹消登録をすれば課税は止まりますが、名義を変えずに放置すると、納税義務者は亡くなった方のままです。

確認すること

  1. リサイクル料金が預託済みか:リサイクル券が車内にあることが多いです
  2. 自動車税の未納がないか:納税通知書や督促状を探します
  3. 自賠責保険の残り期間:廃車にすると還付を受けられる場合があります
  4. 任意保険の解約:残りの期間に応じて戻ることがあります
  5. 駐車場の契約:月極なら解約の連絡を

未納の税金があるとき

自動車税が未納のままだと、名義変更や抹消の手続きが進まないことがあります。督促状が見つかったら、普通車は都道府県、軽自動車(軽自動車税種別割)は市区町村の窓口に相談してください。

亡くなった方の未納分は、相続財産のマイナス分として扱われます。相続放棄を考えている場合は、車の手続きに手をつける前に弁護士へ相談してください。財産の処分とみなされる可能性があります。判断の分かれ目は相続放棄のデメリットは?実家を手放す前の確認点にまとめています。

相続がからむときの必要書類

戸籍謄本など必要書類を並べたところ

亡くなった方の名義の車を動かすには、相続人であることを示す書類が必要です。基本になるのは、亡くなった方の戸籍(出生から死亡まで)、相続人全員の戸籍、遺産分割協議書、印鑑証明書です。実家の相続登記でそろえた書類がそのまま使えることも多いので、まとめて取り寄せると手間が減ります。車の価格が一定額以下の場合、簡易な手続きが用意されていることもあるため、運輸支局に確認してください。戸籍は取り寄せに日数がかかるため、車だけを急いで進めようとすると、かえって待ち時間が増えます。

そろえる書類

書類 どこで取るか
亡くなった方の戸籍(出生から死亡まで) 本籍地の市区町村
相続人全員の戸籍 各人の本籍地の市区町村
遺産分割協議書 相続人全員で作成
新所有者の印鑑証明書 住所地の市区町村
車庫証明 警察署(普通車の場合)

車庫証明の申請先は、保管場所を管轄する警察署です。軽自動車では届出で足りる地域もあります。

手続きを代行してもらう

運輸支局へ行く時間が取れない場合、行政書士や販売会社に代行を頼むことができます。買取や廃車を依頼する事業者が、手続きまで含めて引き受けてくれることも多いです。

代行の費用が見積もりに含まれているかを確認してください。「手続き込み」と言われても、書類の取得費は別のことがあります。

動かない車が敷地に残っているとき

草に埋もれかけた動かない車

長く動かしていない車が実家の敷地に残っている場合、ナンバープレートが付いたままなら自動車税の課税は続きます。まず車検証と納税通知書を探し、抹消登録が済んでいるかどうかを確かめてください。自走できない車は、積載車で運ぶ費用がかかります。この運搬費が別料金になっていないかを先に聞いておくと、金額の食い違いを避けられます。敷地内に置いたままにすると、雨水がたまって蚊が発生する、部品が盗まれるといったことも起こります。

自走できない車を運ぶ

エンジンがかからない、タイヤが劣化しているという車は、積載車での運搬になります。引取業者や解体を扱う事業者が手配してくれることが多いです。外したタイヤだけが物置に残っている場合は、車とは別の頼み先になります。詳しくはタイヤの処分方法にまとめました。

運搬費は距離と作業の手間で変わります。門から道路までの幅、傾斜、他の物が置かれていないかを伝えると、見積もりが正確になります。

ナンバープレートが外れているとき

すでに抹消登録が済んでいる車は、自動車税はかかっていません。この場合は廃車の登録手続きではなく、車体の引き取りを頼む形になります。一時抹消登録のまま解体するときは、解体報告記録がなされたことを知った日から15日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならないと定められています。この届出まで引き受けてもらえるかどうかは、依頼のときに確かめてください。

ただし、抹消の書類が残っているかを確認してください。登録識別情報等通知書などが見つからない場合は、運輸支局で状況を照会できます。

敷地を売るときは先に片付ける

実家を売る予定があるなら、車は引き渡しまでに敷地から出しておきます。放置車両が残っていると、買主に撤去費用を負担させる話になり、価格の交渉材料になります。

庭の物置や大型の残置物と一緒に、まとめて相談すると手間が減ります。片付け全体の進め方は実家じまいとは?進め方の全手順と費用相場を順番どおりに解説をご覧ください。

まとめ:車検証を見て、名義から動かす

実家の車の処分は、車検証を見つけて、所有者と使用者の欄を確認するところから始まります。所有者が亡くなった親のままなら、売ることも廃車にすることもできません。所有者が販売会社やローン会社になっている場合は、所有権解除の書類が要ります。ここを飛ばして買取店に連絡しても、査定は受けられても引き渡しまで進みません。順番を守るほうが結局は早く終わります。軽自動車なら窓口は軽自動車検査協会になり、必要な書類も変わります。

乗り続けるなら、所有者の変更があった日から15日以内に移転登録の申請をします。手放すなら、売る、引き取ってもらう、廃車にするの3つです。廃車には一時抹消と永久抹消があり、解体した場合の永久抹消は、解体報告記録がなされたことを知った日から15日以内とされています。

忘れやすいのが、リサイクル料金、自動車税、自賠責と任意保険です。抹消登録をすれば課税は止まり、保険は残りの期間に応じて戻ることがあります。相続放棄を考えているなら、車に手をつける前に弁護士へ相談してください。車の名義を動かした時点で、財産を処分したとみなされる可能性があります。

動かない車が敷地に残っているなら、ナンバープレートが付いたままかどうかを見てください。付いていれば課税は続いています。同じ敷地にバイクが残っている場合は、手続きの窓口が排気量で変わります。バイクの処分方法にまとめました。積載車の運搬費が見積もりに入っているかも、あわせて確かめてください。

この記事では、家財や家電の処分、実家の売却は扱っていません。家電は実家の家電の処分方法|リサイクル料金と頼み先の選び方、家具はタンスの処分方法は?費用の目安と搬出の段取り、実家じまい全体は実家じまいとは?進め方の全手順と費用相場を順番どおりに解説をご覧ください。

車は動かせるぶん、後回しにされがちです。ただ、名義が止まったままだと税金の通知だけが届き続けます。車検証を探すところから始めてください。

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